- 著者
-
徳吉 剛
- 出版者
- 長崎国際大学
- 雑誌
- 奨励研究
- 巻号頁・発行日
- 2012
大学設置基準の改正に伴う大学における「職業指導の義務化」により、大学は教育課程におけるキャリア教育等、学生に対するキャリア及び就職支援体制を見直した。さらに近年の厳しい日本の雇用状況の中、大学の入試制度の多様化や大学の教育環境で自ら「学ぶ」ことが難しい学生が増加し、学生の基礎学力の低下が指摘され、高等教育機関である大学は学生の基礎学力向上や学生の卒業後の進路決定に対し影響を与える就業意識の向上と就業力育成が喫緊の課題となった。本研究は、学生に対するキャリア支援と学生の自主的な活動との関係性や効果を明らかにすることを掲げ、初年度である本年度は限られた環境の中、実態調査としてキャリア教育(対象1~3年生)受講学生に対するアンケート調査の実施、また分析及び効果測定として基礎力及び基礎学力測定テストの結果に対し、学生の入学時の「入試種別」、学生の自主的な活動である「課外活動」等、さらに就職者や未就職者との関係性の分析を明らかにすること、さらに本研究の最大の課題は、自ら考え、学び、行動し、検証する立場にある学生に対し効果的な学生生活とキャリア支援について提言することが主たる目的である。本年度の研究によって得られた一部の分析結果は、学生の自主的な活動とキャリア教育やキャリア支援プログラムにより、学生の情報収集力、情報分析力、課題発見力、構想力を含むリテラシー領域である「問題解決力」、さらに「基礎学力」についてはある一定の効果がみられたが、コンピテンシー領域である学生の様々な経験を積むことで身についた行動特性、さらに経験を振り返り意識して行動することで育成される力については効果が一部低くなるという知見を得た。今後の学生に対するキャリア支援の方向性として、学生の自主的な活動に対する更なるリテラシー及びコンピテンシー領域の意識付けと学生と教職員との三位一体が有効であると考えることができた。