著者
石田 裕人 岡見 次郎 須﨑 剛行 楠 貴志 徳永 俊照 東山 聖彦
出版者
特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会
雑誌
日本呼吸器外科学会雑誌 (ISSN:09190945)
巻号頁・発行日
vol.35, no.2, pp.172-175, 2021-03-15 (Released:2021-03-15)
参考文献数
8

症例は61歳男性,右中葉肺癌に対して右中葉切除術を行った.術中にタコシールⓇを2回使用し,1回目は上肺静脈に約1 cm2使用し,2回目は1時間後に肺瘻修復と先程の上肺静脈の追加補強のために約22 cm2使用した.その約10分後に,収縮期血圧が40 mmHg台まで急激に低下し,昇圧剤投与にも反応乏しく,血圧低値が続いた.術野に明らかな出血はなく,患者の顔面や頸部,上腕に紅潮・膨隆疹を認めたため,アナフィラキシーショックと判断した.タコシールⓇが原因である可能性を疑い,全てのタコシールⓇを除去し,生理食塩水で貼付部を洗浄した.約10分後に血圧は改善し,昇圧剤への反応は良好であった.後日,リンパ球刺激試験(DLST)を行い,2回目で陽性判定となったため,タコシールⓇによるアナフィラキシーショックと診断した.タコシールⓇによるアナフィラキシーショックは非常に稀であり,注意喚起も含めて報告する.
著者
徳永 俊照 武田 伸一 小間 勝 澤端 章好 前田 元
出版者
特定非営利活動法人日本呼吸器外科学会
雑誌
日本呼吸器外科学会雑誌 (ISSN:09190945)
巻号頁・発行日
vol.22, no.5, pp.746-752, 2008-07-15
被引用文献数
4 2

外科的切除にて診断された肺過誤腫23例の臨床像を検討した.性別は男性12例,女性11例で,年齢は28〜71歳,平均53.5歳であった.20例は無症状であったが,3例は症状を有し,そのうち2例は胸痛,1例は咳嗽であった.病変は,22例が単発性で,1例のみ多発性であった.腫瘍径は0.5〜3.0cmで,平均1.5cmであった.画像上,石灰化を6例に認めたが,明らかなポップコーン様ではなかった.石灰化を有する症例は,腫瘍径が有意に大きかった.17例に気管支鏡が施行されたが,確定診断できず,全例か悪性疾患を否定できないため手術に至った.術式は,6例に検出術,16例に部分切除術,1例に葉切除術が施行され,そのうち17例に胸腔鏡下手術が施行された.肺過誤腫の術前診断は困難であるが,悪性疾患との鑑別が問題となる場合,外科的切除にて診断することを考慮すべきである.