著者
河野 敬史 猪狩 忠光 今吉 雄二 田中 敏博 徳永 成光 吉満 敏 寺田 竜太
出版者
日本水産増殖学会
雑誌
水産増殖 (ISSN:03714217)
巻号頁・発行日
vol.60, no.3, pp.359-369, 2012-09-20 (Released:2015-03-23)
参考文献数
32

薩南諸島と鹿児島県本土に見られる海草13種について,鹿児島大学と鹿児島県水産技術開発センターの標本と調査記録に基づいて分布を整理すると共に,熱帯・温帯性海草の推移帯に位置する奄美大島 2ヶ所で群落構造を調査した。日本本土に主に分布する温帯性種のコアマモとヤマトウミヒルモは奄美大島でも見られたが,アマモは薩南諸島で確認されなかった。熱帯性種の分布は種によって異なり,ベニアマモ,リュウキュウアマモ,ボウバアマモ,リュウキュウスガモ,ウミヒルモ,トゲウミヒルモの6種は奄美大島が北限だったが,ウミジグサ2種は種子島南部でも見られた。一方,オオウミヒルモは薩南諸島,鹿児島県本土の両方で見られた。沖縄以南の海草群落で主要構成種となるリュウキュウスガモは与論島,沖永良部島,徳之島で優占群落が見られたが,奄美大島では一部を除いて点生する程度であり,コアマモやウミジグサ類主体の群落が形成されていた。