- 著者
-
徳永 裕輔
- 出版者
- 福岡教育大学
- 雑誌
- 奨励研究
- 巻号頁・発行日
- 2011
【研究目的】1,子どもが保健体育科の学習において身につけた知識や技能を他の運動場面や他の単元に発展させたり転移させたりして取り組むことの可能性を調査・分析する。【研究の方法】1,子どもの実態調査を学習の事前事後に行うことでその変容から考察する。具体的には,技能の基礎となる新体力テストによる子どもの体力に関する実態の調査と分析を行った。また,運動に対する学習目標志向測度(谷島・新井1994を一部徳永改編)運動に対する価値志向測度(酒井・山口・久野1998を徳永一部改編)の記述式アンケート調査を実施し分析を行った。2,「学習の足跡」としてポートフォリオを作成し,子ども自身が学習した内容を随時振り返り,学びを利用したり適川したりすることができるような学習活動を設定した。3,体力の高・中・低の抽出性を設定し,運動に対する志向性の関係を多面的に分析した。【研究の成果】1,集団的種目(単元)において,子どもは,過去の学習経験から,指導者が考えている以上に,個人技能と集団技能の関連を意識的にできていなかったことが分かった。つまり,習得した個人技能を用いて戦術や仲間との連携などの集団技能へ活用する意識が少ないという分析結果が得られた。2,単元の導入段階で,子どもにシラバスや学習目標の提示を行い,単元を貫く課題意識を持たせることで,「習ったことを試す」「習ったことを活かす」ような意識を持つことが期待されることが分かった。3,単元の中に,体育理論の内容(その運動の歴史等),要領や技術的なポイントなどを各自で探究活動を行い,レポートにまとめる活動を取り入れることで,運動への理解力が身に付き,自ら考え実践しようとする力が高まった。