- 著者
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福田 正人
三國 雅彦
心の健康に光トポグラフィー検査を応用する会
- 出版者
- 医学書院
- 雑誌
- 精神医学 (ISSN:04881281)
- 巻号頁・発行日
- vol.49, no.3, pp.231-243, 2007-03-15
近赤外線スペクトロスコピィNIRS
近赤外線スペクトロスコピィnear-infrared spectroscopy(NIRS)は,近赤外光が生体を通過する際にヘモグロビンにより吸収されることを利用して,生体の血液量を非侵襲的に測定する方法論である。日本語では,近赤外(線)スペクトロスコピィ・近赤外分光法などとも呼ばれる。
1. NIRSの原理6)
近赤外光のうち波長700~1,000nmのものは,骨を含む生体組織を0.1%程度というわずかではあるが測定可能な量が通過し,ヘモグロビンには吸収されやすいという特性を持つ。そこで,頭皮上に入射プローブと検出プローブを3cm程度の距離に設置すると,頭皮下2~3cmまでの生体内を散乱しながら通過した近赤外光をとらえることができる。酸素化ヘモグロビン(oxy-Hb)と脱酸素化ヘモグロビン(deoxy-Hb)による吸収は波長により異なるので,2波長以上で同時に計測するとoxy-Hb・deoxy-Hbそれぞれの濃度が算出できる。これがNIRSの原理である。微弱な光を用いているため生体への悪影響はない。工学的シミュレーションも進んできている36)。