著者
福田 正人
出版者
一般社団法人 日本めまい平衡医学会
雑誌
Equilibrium Research (ISSN:03855716)
巻号頁・発行日
vol.69, no.1, pp.1-15, 2010 (Released:2010-04-01)
参考文献数
56
被引用文献数
1 3

Objective: Near-infrared spectroscopy (NIRS) has been increasingly employed in psychiatry for functional neuroimaging studies of sleepiness, fatigue, personality, aging, brain activation time course, transcranial magnetic stimulation effects, and psychiatric disorders such as schizophrenia, mood disorders, panic disorder, and eating disorder, owing to its advantages over fMRI and PET such as complete noninvasiveness, small apparatus for measurements, and the natural setting for its examination.Methods: Characteristics of frontal lobe function were investigated using multichannel NIRS machines in schizophrenia, unipolar depression, and bipolar depression. Changes of oxygenated-hemoglobin concentration (oxy-Hb) were monitored every 0.1s during a verbal fluency task using a Hitachi ETG-100 and ETG-4000 system with the probes placed on the subjects' frontal and temporal regions.Results: Three psychiatric groups demonstrated different patterns of oxy-Hb changes from those in the control group. The schizophrenic group was characterized by a reduced oxy-Hb increase during the task period followed by an oxy-Hb re-increase during the post-task period, the unipolar depression group by a smaller oxy-Hb increase, and the bipolar depression group by a comparable but delayed oxy-Hb increase.Conclusion: The observed patterns of oxy-Hb changes suggest the characteristics of reactivity of frontal lobe function: inefficient, reduced, and preserved but delayed in schizophrenia, unipolar depression, and bipolar depression, respectively. NIRS can be employed as a clinical laboratory test for diagnosis and treatment of psychiatric disorders in the near future.
著者
滝沢 龍 笠井 清登 福田 正人
出版者
日本生物学的精神医学会
雑誌
日本生物学的精神医学会誌 (ISSN:21866619)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.41-46, 2012 (Released:2017-02-16)
参考文献数
34

現在の臨床精神医学の克服すべき点の1つに,診断と治療に役立つ生物学的指標を探索・確立することがある。今回は,発達(個体発生)や進化(系統発生)の視点から,生物学的精神医学において必要な脳研究の方向性に示唆が得られないか探ることをテーマとした。人間の脳の発達・成熟のスピードは部位によって異なり,より高次の機能を担う部位では遅く始まると想定されている。思春期には,前頭前野のダイナミックな再構成が起こり,この時期の発達変化の異常が統合失調症などの精神疾患の発症と関連している可能性も指摘されている。進化の視点からは,前頭前野の中でも前頭極や言語機能に関連する脳部位が人間独特の精神機能と関連するとして注目が集まってきている。進化論により注目される脳部位と,それに関連する最も高次な認知機能への理解が進むことは,人間独特の精神機能や,その障害としての精神疾患への鍵となる見識をもたらすことが期待される。
著者
福田 正人 三國 雅彦 心の健康に光トポグラフィー検査を応用する会
出版者
医学書院
雑誌
精神医学 (ISSN:04881281)
巻号頁・発行日
vol.49, no.3, pp.231-243, 2007-03-15

近赤外線スペクトロスコピィNIRS 近赤外線スペクトロスコピィnear-infrared spectroscopy(NIRS)は,近赤外光が生体を通過する際にヘモグロビンにより吸収されることを利用して,生体の血液量を非侵襲的に測定する方法論である。日本語では,近赤外(線)スペクトロスコピィ・近赤外分光法などとも呼ばれる。 1. NIRSの原理6) 近赤外光のうち波長700~1,000nmのものは,骨を含む生体組織を0.1%程度というわずかではあるが測定可能な量が通過し,ヘモグロビンには吸収されやすいという特性を持つ。そこで,頭皮上に入射プローブと検出プローブを3cm程度の距離に設置すると,頭皮下2~3cmまでの生体内を散乱しながら通過した近赤外光をとらえることができる。酸素化ヘモグロビン(oxy-Hb)と脱酸素化ヘモグロビン(deoxy-Hb)による吸収は波長により異なるので,2波長以上で同時に計測するとoxy-Hb・deoxy-Hbそれぞれの濃度が算出できる。これがNIRSの原理である。微弱な光を用いているため生体への悪影響はない。工学的シミュレーションも進んできている36)。
著者
伊藤 憲治 平松 謙一 福田 正人 湯本 真人 越田 一郎 丹羽 真一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会総合大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.1995, pp.472-473, 1995-03-27

人間における言語理解、推論、学習などは、言語、認知、さらに思考過程の中心的な役割を果たしており、現在、情報科学、認知科学、神経科学、精神科学など多くの分野において、その脳内過程の解明、さらにその障害の診断や治療法の確立が望まれている。近年、これらの脳内の言語・認知過程に対し、従来の心理学的な手法やMRIなど主として脳の構造を明らかにするものに加え、脳波(EEG)や脳磁図(MEG)など脳の電気・磁気的生理活動をとらえるもの、PET、SPECT、機能的MRI(fMRI)など代謝活動をとらえるものなどによる脳の機能情報が得られ始めている。今後、さらに新たな脳の機能計測法の利用が期待される。これら高次脳機能およびその障害を把握するには、これら脳構造・生理・代謝情報の協同によって、言語・思考過程にかかわる脳内部の局在同定とその活動動態を三次元的に把握する必要がある。しかし、これらの情報は、たとえばEEGやMEGはミリ秒単位で脳・神経系の活動を可視化できるが皮質表面付近の活動情報が主なものである。逆にPET、SPECT、fMRIなどは、三次元の脳内部の活動情報が得られるが、分・秒単位で時間分解能が悪いなど、それぞれ機能情報に違いがある。また、それらの情報を計算機処理データをして扱う場合、画像モデルが異なるなどの問題があり、これまで、種々の脳関連情報を統一的に扱うことが困難であった。現在、言語と思考過程とその障害の解析、さらに新たな脳機能情報に対処できる臨床システムの開発を指向して、三次元脳機能局在を同定するための言語・認知検査課題と異種脳機能情報の解析プログラムを作成し、統合情報の動態を映像化するシステムの構築を始めている。ここでは、このシステムの構成を説明し、開発システムを用いた正常者および言語・思考の異常を示す精神神経疾患患者の観測とこれら脳機能情報に基づく言語・思考過程とその障害のモデル作成の試みを紹介する。