著者
涌井 佐和子 志手 典之 新開谷 央
出版者
北海道教育大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2004

本研究では、寒冷地における児童の身体活動推進を目的とした行動科学的介入方法の開発を目的とした。研究の概要は下記の通りである。1)先行研究を検討した。欧米における児童の身体活動推進に関しては、教科体育、教科外での運動実践、栄養教育、家族サポート、などを含む複合型が多かった。また、児童の身体活動の評価は、簡便な質問票に加速度計での測定を併用したものが多かった。様々な行動変容の理論体系の中で重視される心理環境要因の検討も行われていた。2)42名の児童を対象としてスズケン社製ライフコーダEXを用いた予備調査を行なった。児童の身体活動量は休日と平日で異なっており、少なくとも7日間の平均値を用いることが好ましいことが明らかとなった。3)保護者に対して健康づくり環境についての調査を行なった。子どもの健康づくりに関する学校に対する要望として、教科外の取り組みに対するものが多く、学校施設の開放を求める声も見られた。地域に対する要望は、今日問題となっている安全対策に関するものが多かった。4)64名の児童を対象とした調査を行なった。冬になると児童の身体活動量は特に平日に減少し、また身体活動に関わる環境も変化していた。身体活動度の高い児童と低い児童との間では、社会的支援や心理的要因が異なっていた。5)330名の児童を対象とした調査を行なった。冬になると運動・スポーツを実施するための環境は大きく変化している可能性が示唆された。6)教員を対象として無記名自由記述調査を行なった。児童が活発である学校の特徴として、地域要因(スポーツ少年団の種類が多く活発、校区が狭く車による送り迎えが少ない、地域にさかんなスポーツがある、等)、学校要因(遊具や施設、教職員の連携や統一感、学校行事)、家庭要因(家族が活動的、家族支援)の3つが挙げられた。7)研究1〜6の結果をふまえ、推進のための現実的な試案を作成した。