著者
志村 ゆず
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
日本心理学会大会発表論文集
巻号頁・発行日
vol.84, pp.PD-129-PD-129, 2020

<p>新型コロナウィルスの感染拡大は,未曾有の不安を人々にもたらした。コロナ禍はこれまでにない特性の影響力を持っている。拡大地域では感染症予防によって人々の対面交流が妨げられ,日常生活で通常行っている様々な心理的回復の資源が剥奪された。このような心理的急性期に苦肉の策として感染拡大地域の教育現場では,オンライン授業が導入され始めた。これまで実験場面では筆記法の効果が検討され,実践場面でも専門職による電話相談や遠隔カウンセリングなどが実施されている。</p><p>本研究では,大学のオンライン授業が実施される中で,不安管理のために大学生にオンライン筆記法を実施した。執筆中は心理的配慮についても慎重に行った。本人の承諾を得て個人情報に留意し執筆内容の質的分析を行った。不安内容についてはオンライン筆記の内容より不安や効果に関する記述を抜き出して語りの質を検討した。結果は,次の観点から検討した。1不安の記述についての表現の明確さ,2実際の感染状況との関連性,3不安を乗り越えようとする努力の焦点であった。この観点を考慮に入れ,筆記法の効果や問題点や留意点などについて考察した。</p>