著者
島田 裕子 大野 庸子 泉谷 秀子 志水 映子
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.31, no.8, pp.603-608, 1980

本研究は名古屋市内の民間分譲マンションの建設傾向を把握し, その資料をもとにマンション居住者の実態および住要求を明らかにすることを目的に調査を行い, つぎの結果を得た.<BR>1) 名古屋市のマンションは近年増加の傾向にあり, その大部分は地下鉄沿線に建設されている.<BR>2) マンション居住者は, 平均家族3人の核家族, 平均年収300万円以上の給与生活者が8割を占め, 広さ約80m<SUP>2</SUP>, 室数3LDK以上に居住している. 居住者は利便性を選択の最大理由としている.<BR>3) マンション居住者の永住意向は低く, 転居意向は高く, 大多数が住み替えを前提としている. 転居の要因となりうるものとしては, 住戸の型, 広さ, 価格および年齢があげられる. しかし転居の最大の理由は庭付き1戸建て志向であり, ここにマンションの限界の一つがあるといえる.<BR>4) 以上マンション居住者の属性および転居意向から指摘しうることは, マンションが都市の中堅サラリーマンの住居として有効に機能していないという点である.