著者
辻 英明 志澤 寿保
出版者
日本ペストロジー学会
雑誌
ペストロジー学会誌 (ISSN:09167382)
巻号頁・発行日
vol.15, no.1, pp.16-21, 2000-05-31
被引用文献数
6

数種殺虫剤を用い,直径5.5cmの処理ろ紙面の中心の無毒餌と,無処理面中心の無毒餌に接近摂食する個体数を比較し,処理面通過接触による死亡の起こり方も観察した.ペルメトリン水性乳剤処理(10倍希釈0.4cc)ろ紙は激しく忌避され(50分〜78分後3区平均87.7%忌避),死亡率は低かった(6日後平均5.6%).フェニトロチオン乳剤処理(10倍希釈0.4cc)ろ紙にはやや忌避性があったが(4区平均42.3%),長期間後に若干の死亡がみられた(6日後平均37.5%).ダイアジノンMC剤処理(10倍希釈0.4cc)ろ紙では忌避は少なく(2区平均-39.6%),ホウ酸粉末に次ぐ死亡率が得られた(6日後平均83.3%).プロペタンホス乳剤処理への忌避は殆どなかったが(10倍希釈で-61.3%,3倍希釈で16.4%),死亡率は低かった(10倍希釈3区6日後平均5.6%).ホウ酸粉末処理(200メッシュ篩過紛50mg)ろ紙に対する忌避は少なく(3区平均4.3%),殺虫効果は最も高く,かつ最も速やかであった(6日後3区100%).ホウ酸粉末剤+プロペタンホスのエアゾール剤(不快害虫用市販品)200mg(乾燥後の重さ)を処理したろ紙上(直径11cm)に市販ベイト(ヒドラメチルノン)を置いた場合,ベイト容器への侵入は阻害されず,無処理ろ紙上にベイトがある場合より1〜2日速くゴキブリが全滅した.