著者
大町 俊司 谷川 力
出版者
日本ペストロジー学会
雑誌
ペストロジー学会誌 (ISSN:09167382)
巻号頁・発行日
vol.18, no.1, pp.31-33, 2003
参考文献数
5

電気ポット内へのゴキブリの侵入とそこから熱湯とともに排出される可能性について調べたところ,沸騰させたポットからお湯と共にチャバネゴキブリが排出された.さらに,継続してポットの電源を入れたままにしたが,毎回チャバネゴキブリが排出された.電気ポットはチャバネゴキブリにとって快適な潜伏場所であり,それが原因でお湯を注ぐ毎に排出される可能性が高いことが明らかとなった
著者
上村 清 倉井 華子 忽那 賢志
出版者
日本ペストロジー学会
雑誌
ペストロジー (ISSN:18803415)
巻号頁・発行日
vol.35, no.2, pp.49-55, 2020-09-25 (Released:2021-09-25)
参考文献数
33

イノシシが引き起こす人獣共通感染症のうち,ウイルス病である日本脳炎,SFTS,狂犬病,E型肝炎,豚インフルエンザ,ニパウイルス感染症,細菌・リケッチア病である日本紅斑熱,寄生虫病である回虫症,旋毛虫症,猪オンコセルカ症,顎口虫症,肺吸虫症,有鉤条虫症,クリプトスポリジウム症について解説した.イノシシから感染する人獣共通感染症が多くあるので,ジビエ料理には衛生管理が欠かせない.
著者
渡辺 護
出版者
日本ペストロジー学会
雑誌
ペストロジー (ISSN:18803415)
巻号頁・発行日
vol.36, no.1, pp.17-23, 2021-03-25 (Released:2022-03-25)
参考文献数
15
被引用文献数
5

富山県の立山山麓で1995年からクサギカメムシとスコットカメムシの越冬飛来の観察してきた.今回,クサギカメムシおよびスコットカメムシ飛来数と降雪量の関係,クサギカメムシ飛来数とスギ花粉飛散量との関係,さらに両種の飛来数に影響を及ぼす気象要素との関係について検討を行った. クサギカメムシの飛来数と降雪量には関係はみられなかったが,スコットカメムシでは飛来数が多いと降雪量が多くなることが示唆された.また,クサギカメムシの飛来数を春のスギ花粉飛散量で予測することは出来なかった. クサギカメムシの飛来数が多い年は交尾産卵期(5月上旬〜6月下旬)と幼虫発育期(5月下旬〜8月上旬)の最高気温が高い傾向が示された.スコットカメムシの飛来数が多い年は羽化期(8月下旬〜9月中旬)の降水量が少ない傾向,飛来期(10月下旬〜11月中旬)の風速が弱い傾向が示された.
著者
中野 敬一
出版者
日本ペストロジー学会
雑誌
ペストロジー (ISSN:18803415)
巻号頁・発行日
vol.22, no.2, pp.73-76, 2007
参考文献数
16
被引用文献数
3

2006年7月から10月に東京都港区において粘着トラップによるゴキブリの捕獲調査を行った.屋外にある自販機の下に粘着トラップを設置した.クロゴキブリとチャバネゴキブリが捕獲されたが,他の種類のゴキブリは捕獲されなかった.10月にはクロゴキブリの大型と小型幼虫が増加した.
著者
林 幸希
出版者
日本ペストロジー学会
雑誌
ペストロジー (ISSN:18803415)
巻号頁・発行日
vol.36, no.1, pp.33-34, 2021-03-25 (Released:2022-03-25)
参考文献数
5

2019年7月12日と同13日に宮崎県で初記録となるフタホシモリゴキブリを採集した.本種の日本国内における報告は3例目となる.
著者
斎藤 千秋 公文 堅一
出版者
日本ペストロジー学会
雑誌
ペストロジー学会誌 (ISSN:09167382)
巻号頁・発行日
vol.7, no.1, pp.9-12, 1992-11-06 (Released:2019-07-11)
参考文献数
3

チャバネゴキブリBlattella germanica L., を温度37~49℃において湿度80% R. H., 55% R. H., 20% R. H., で暴露し本種のノックダウン時聞を調べた.温度39℃以下では高湿度(80% R. H.)よりも,低湿度(20% R. H.)処理におけるノックダウンが早く,また40℃以上の場合では逆に高湿度処理に高い効果が確認された.暴露温度46℃以上では湿度に関係なくノックダウンした.しかし,12時間後の観察から蘇生している個体が確認されており,ノックダウンが致死効果に一致しないことが示唆された.
著者
中野 敬一
出版者
日本ペストロジー学会
雑誌
ペストロジー (ISSN:18803415)
巻号頁・発行日
vol.28, no.2, pp.101-106, 2013-11-15

2011年6〜12月に,東京都港区にある超高層ビルの公開空地と都市公園の樹木の樹洞において,粘着トラップによるゴキブリの捕獲調査を行った.両方の場所でクロゴキブリ成虫と幼虫が6〜11月まで捕獲された.捕獲数における幼虫の比率は,公開空地では90.5%,公園樹木では73.7%であった.公園樹木ではヤマトゴキブリ成虫と幼虫も捕獲されたが,その捕獲数はクロゴキブリよりも少なかった.公開空地や公園緑地の植栽はクロゴキブリやヤマトゴキブリの生息環境として重要である.
著者
橋本 知幸
出版者
日本ペストロジー学会
雑誌
ペストロジー (ISSN:18803415)
巻号頁・発行日
vol.28, no.2, pp.113-115, 2013-11-15 (Released:2019-04-10)
参考文献数
8

吸血源の周囲にディートを残留処理した時の,トコジラミの吸血阻止効果を室内試験により評価した.供試虫としては,殺虫剤感受性系統(帝京大系)とピレスロイド抵抗性系統(千葉系)を用いた.その結果,対照区における2日間の平均吸血率は,帝京大系と千葉系がそれぞれ,58.6%と86.8%を示した.一方,処理区ではディートの薬量が増加するほど吸血率は低くなった.処理区の10 g/m2では,帝京大系と千葉系の2日間の平均吸血率がそれぞれ,2.1%と17.7%にとどまり,一定の吸血阻止効果を発揮した.本研究の結果から,ディートの肌以外の面への残留処理によって,トコジラミの吸血行動を防ぐ可能性が示唆された.
著者
金山 彰宏 小曽根 恵子
出版者
日本ペストロジー学会
雑誌
ペストロジー学会誌 (ISSN:09167382)
巻号頁・発行日
vol.12, no.1, pp.9-13, 1997-09-25
被引用文献数
9

Observations of the nocturnal behavior of the German cockroach, Blattella germanica, were carried out using single or mixed populations of males, gravid females, ungravid females and nymphs. In captivity adult males were very active, did not concentrate on the feeding site, and spread widely in the walking area. Gravid females, in contrast, were quite different in their moving pattern from males. The majority of them never came out to the walking area, and only a few individuals gathered around the feeding place. The behavior of the roaches was also observed in the mixed populations. In a separate field study of capturing cockroaches by setting adhesive traps on the open space in a restaurant, the proportion of adult males, ungravid females and gravid females was 64%, 32%, 4%, respectively. The result was same as the above mentioned experiments.
著者
山内 健生 有馬 知佳
出版者
日本ペストロジー学会
雑誌
ペストロジー (ISSN:18803415)
巻号頁・発行日
vol.31, no.1, pp.5-6, 2016-04-20 (Released:2017-11-06)
参考文献数
8

2015年8月1日の午前5時46分頃,兵庫県豊岡市日高町東河内(標高約400 m)で,アスファルトの舗装道路上を行進するクロバネキノコバエ科幼虫の集団(armyworm)が発見された.クロバネキノコバエ科幼虫の隊列は,長さが約20 cmで,西から東の方向へ向かって進んでいた.そこで,スマートフォンを用いて16秒間の動画と静止画1枚を撮影した.虫体の採集は行わなかったため,クロバネキノコバエ科幼虫の種名などの詳細は不明である.我が国では,armywormは,これまで神奈川県以東で確認されていたが,本報告により西日本で初めて確認された.
著者
高橋 知代 久志本 彩子 小長谷 貴昭 田原 雄一郎
出版者
日本ペストロジー学会
雑誌
ペストロジー (ISSN:18803415)
巻号頁・発行日
vol.21, no.1, pp.1-4, 2006-06-30
参考文献数
7

Biodegradable packaging buffers made from corn or wheat starch have replaced plastic foambuffers as packaging materials. The German cockroach, Blattella germanica, the smoky-brown cockroach, Periplaneta fuliginosa, and the brown-banded cockroach, P. brunnea consumed the biodegradable packaging buffers as food when they were kept in an arena with water, yet they hesitated to eat a urethane buffer. The cockroaches could survive and most of them could propagate for generations feeding on packaging buffer. Therefore, the biodegradable packaging buffers should be removed from factories immediately to avoid cockroach infestation.
著者
中野 敬一
出版者
日本ペストロジー学会
雑誌
ペストロジー (ISSN:18803415)
巻号頁・発行日
vol.34, no.2, pp.95-99, 2019-09-25 (Released:2020-09-25)
参考文献数
12

2017年7月上旬から10月上旬に,東京都港区芝にある14階建てマンションの6階のベランダと室内で,粘着トラップとマーキングをした再捕獲法によるクロゴキブリの捕獲調査を行った.マーキング調査の結果,ベランダで5個体が再捕獲されたが,室内では捕獲されなかった.粘着トラップにより,ベランダで92個体が,室内で9個体が捕獲された.植木鉢周辺で捕獲数が多かった.室内では幼齢幼虫が居間を中心に捕獲された.
著者
緒方 一喜
出版者
日本ペストロジー学会
雑誌
ペストロジー学会誌 (ISSN:09167382)
巻号頁・発行日
vol.13, no.2, pp.31-39, 1998-09-30
参考文献数
38

国際的な人や物の激しい流れ,インターネット等通信手段の発達等によって,世界はますますボーダーレスの時代になりつつある.今後ますます加速されるであろう国際化時代にPCOはどう対応すればよいのか.このテーマには国内外における外国企業との競争など,経営・営業戦略的に重要な側面が含まれるが,これは筆者の任ではないので触れない.ここでのテーマは,国際化に伴い日本に持ち込まれる衛生害虫・有害動物の侵入・定着の実態はどうか,PCOはいかにこれに対応したらよいかという側面である.といっても対策は個別的特性を持ち,また手ごろの妙薬があるわけではないが,ここでは過去の侵入の実態を追い,現在日本が抱える問題点を明らかにして今後の指針を探ることとしたい.
著者
田中 伸久 小林 貞 田中 英文 佐々 学 萱原 伊智郎 山口 安宣 林 治稔 小澤 邦寿
出版者
日本ペストロジー学会
雑誌
ペストロジー学会誌 (ISSN:09167382)
巻号頁・発行日
vol.19, no.1, pp.1-5, 2004-04-30 (Released:2019-07-11)
参考文献数
12
被引用文献数
1

群馬県内において,ユスリカ幼虫が上水道給水栓から発見される苦情事例が発生した.ユスリカは,ヨシムラツヤユスリカおよびハモンユスリカ属の幼虫であり,これらは浄水場内でも確認されたことから,浄水場内のユスリカ幼虫が給水栓に達したものと推測された.また,前塩素濃度を上げる,凝集剤 (PAC) を多めに入れる,濾過機の逆洗回数を増やす,清掃を行うなどの積極的かつ厳重な管理によって,このような事例は防ぎうることが示唆された.
著者
谷川 力 大町 俊司 足立 行男
出版者
日本ペストロジー学会
雑誌
ペストロジー学会誌 (ISSN:09167382)
巻号頁・発行日
vol.19, no.2, pp.89-93, 2004-09-15
参考文献数
11
被引用文献数
3

The authors discussed the effect of bait formulation containing coumatetralyl of 0.025% and 0.0375% on warfarin-resistant and susceptible roof rats, Rattus rattus, and wild roof rats caught in Shinjuku Ward, Tokyo, Japan. When 0.025% and 0.0375% toxic baits of coumatetralyl were given respectively to the warfarin-resistant roof rat, there was a significant difference (P<0.05) in mortality and bait intake between the two test groups. With an increase in coumatetralyl concentration, the effect was substantial even to the warfarin-resistant group. It was evident that coumatetralyl exceed efficacy than warfarin at the same concentration. When 0.025% and 0.0375% toxic baits of coumatetralyl were given to the warfarin-susceptible group, there was no significant difference in mortality and bait intake. It was not essential to increase the coumatetralyl concentration in case of the warfarin-susceptible roof rat and coumatetralyl was effective at the low concentration. When 0.025% toxic bait of coumatetralyl was given to the wild rats caught in Shinjuku Ward, Tokyo, the results were similar to that of the 0.025% test group of warfarin-resistant rat in lethal feeding period and bait intake. It was proved that those rats exhibited high resistance to warfarin.