著者
大町 俊司 谷川 力
出版者
日本ペストロジー学会
雑誌
ペストロジー学会誌 (ISSN:09167382)
巻号頁・発行日
vol.18, no.1, pp.31-33, 2003
参考文献数
5

電気ポット内へのゴキブリの侵入とそこから熱湯とともに排出される可能性について調べたところ,沸騰させたポットからお湯と共にチャバネゴキブリが排出された.さらに,継続してポットの電源を入れたままにしたが,毎回チャバネゴキブリが排出された.電気ポットはチャバネゴキブリにとって快適な潜伏場所であり,それが原因でお湯を注ぐ毎に排出される可能性が高いことが明らかとなった
著者
平尾 素一 環境生物コンサルティング・ラボ:NTG研究会
雑誌
ペストロジー学会誌 (ISSN:09167382)
巻号頁・発行日
vol.5, no.1, pp.24-26, 1990-11-01

現在のゴキブリ駆除は病原菌の媒介を阻止するためというより,ゴキブリの姿を見て「嫌だ」「気持がわるい」という,いわゆる不快感という観点から駆除対象とされることが多い.この場合,一軒の住宅で,どれくらい姿を見ると人々は「駆除」というアクションをおこすのか,いわば許容水準(Tolerance level)はどれくらいかについて知る必要がある.そのためには人々のゴキブリに対する意識について数多くの調査を行なう必要がある.アメリカバージニア工科大学の昆虫学教室のグループが,1979年夏にメリーランド州Baltimore(265世帯),バージニア州Norfolk(240世帯),Roanoke(143世帯)の計648軒のアパート住人に対して,ゴキブリに対する態度(Attitude)と知識(Knowledge)について調査している.害虫管理の基本的な出発点は,住人の対象害虫に対する意識と知識を理解することであるという認識にもとづくものである.同大学グループはまた,1985年夏に中国浙江省杭州のアパート105世帯を対象に同じような調査を行なっている.これらの調査に用いられたとほぼ同じ手法で日本全国513世帯について調査を行ない,日米の比較を試みた.
著者
斎藤 千秋 公文 堅一
出版者
日本ペストロジー学会
雑誌
ペストロジー学会誌 (ISSN:09167382)
巻号頁・発行日
vol.7, no.1, pp.9-12, 1992-11-06 (Released:2019-07-11)
参考文献数
3

チャバネゴキブリBlattella germanica L., を温度37~49℃において湿度80% R. H., 55% R. H., 20% R. H., で暴露し本種のノックダウン時聞を調べた.温度39℃以下では高湿度(80% R. H.)よりも,低湿度(20% R. H.)処理におけるノックダウンが早く,また40℃以上の場合では逆に高湿度処理に高い効果が確認された.暴露温度46℃以上では湿度に関係なくノックダウンした.しかし,12時間後の観察から蘇生している個体が確認されており,ノックダウンが致死効果に一致しないことが示唆された.
著者
金山 彰宏 小曽根 恵子
出版者
日本ペストロジー学会
雑誌
ペストロジー学会誌 (ISSN:09167382)
巻号頁・発行日
vol.12, no.1, pp.9-13, 1997-09-25
被引用文献数
9

Observations of the nocturnal behavior of the German cockroach, Blattella germanica, were carried out using single or mixed populations of males, gravid females, ungravid females and nymphs. In captivity adult males were very active, did not concentrate on the feeding site, and spread widely in the walking area. Gravid females, in contrast, were quite different in their moving pattern from males. The majority of them never came out to the walking area, and only a few individuals gathered around the feeding place. The behavior of the roaches was also observed in the mixed populations. In a separate field study of capturing cockroaches by setting adhesive traps on the open space in a restaurant, the proportion of adult males, ungravid females and gravid females was 64%, 32%, 4%, respectively. The result was same as the above mentioned experiments.
著者
緒方 一喜
出版者
日本ペストロジー学会
雑誌
ペストロジー学会誌 (ISSN:09167382)
巻号頁・発行日
vol.13, no.2, pp.31-39, 1998-09-30
参考文献数
38

国際的な人や物の激しい流れ,インターネット等通信手段の発達等によって,世界はますますボーダーレスの時代になりつつある.今後ますます加速されるであろう国際化時代にPCOはどう対応すればよいのか.このテーマには国内外における外国企業との競争など,経営・営業戦略的に重要な側面が含まれるが,これは筆者の任ではないので触れない.ここでのテーマは,国際化に伴い日本に持ち込まれる衛生害虫・有害動物の侵入・定着の実態はどうか,PCOはいかにこれに対応したらよいかという側面である.といっても対策は個別的特性を持ち,また手ごろの妙薬があるわけではないが,ここでは過去の侵入の実態を追い,現在日本が抱える問題点を明らかにして今後の指針を探ることとしたい.
著者
田中 伸久 小林 貞 田中 英文 佐々 学 萱原 伊智郎 山口 安宣 林 治稔 小澤 邦寿
出版者
日本ペストロジー学会
雑誌
ペストロジー学会誌 (ISSN:09167382)
巻号頁・発行日
vol.19, no.1, pp.1-5, 2004-04-30 (Released:2019-07-11)
参考文献数
12
被引用文献数
1

群馬県内において,ユスリカ幼虫が上水道給水栓から発見される苦情事例が発生した.ユスリカは,ヨシムラツヤユスリカおよびハモンユスリカ属の幼虫であり,これらは浄水場内でも確認されたことから,浄水場内のユスリカ幼虫が給水栓に達したものと推測された.また,前塩素濃度を上げる,凝集剤 (PAC) を多めに入れる,濾過機の逆洗回数を増やす,清掃を行うなどの積極的かつ厳重な管理によって,このような事例は防ぎうることが示唆された.
著者
谷川 力 大町 俊司 足立 行男
出版者
日本ペストロジー学会
雑誌
ペストロジー学会誌 (ISSN:09167382)
巻号頁・発行日
vol.19, no.2, pp.89-93, 2004-09-15
参考文献数
11
被引用文献数
3

The authors discussed the effect of bait formulation containing coumatetralyl of 0.025% and 0.0375% on warfarin-resistant and susceptible roof rats, Rattus rattus, and wild roof rats caught in Shinjuku Ward, Tokyo, Japan. When 0.025% and 0.0375% toxic baits of coumatetralyl were given respectively to the warfarin-resistant roof rat, there was a significant difference (P<0.05) in mortality and bait intake between the two test groups. With an increase in coumatetralyl concentration, the effect was substantial even to the warfarin-resistant group. It was evident that coumatetralyl exceed efficacy than warfarin at the same concentration. When 0.025% and 0.0375% toxic baits of coumatetralyl were given to the warfarin-susceptible group, there was no significant difference in mortality and bait intake. It was not essential to increase the coumatetralyl concentration in case of the warfarin-susceptible roof rat and coumatetralyl was effective at the low concentration. When 0.025% toxic bait of coumatetralyl was given to the wild rats caught in Shinjuku Ward, Tokyo, the results were similar to that of the 0.025% test group of warfarin-resistant rat in lethal feeding period and bait intake. It was proved that those rats exhibited high resistance to warfarin.
著者
坂下 琢治 羽原 政明
出版者
日本ペストロジー学会
雑誌
ペストロジー学会誌 (ISSN:09167382)
巻号頁・発行日
vol.19, no.1, pp.17-20, 2004-04-30 (Released:2019-07-11)
参考文献数
4

高温殺虫法の効果を,ヒラタコクヌストモドキ成虫を用い,製粉工場で試験した.(1) 加熱処理機 (ターモノックス) を用いることにより,ヒラタコクヌストモドキの防除が可能であることが示された.(2) ただし,場所により致死までの時間が異なったり,致死しない場所もあることが明らかになった.(3) 多少の粉の存在は,高温殺虫には影響しないことが示唆された.
著者
藤村 忠明 諏訪 將良
出版者
日本ペストロジー学会
雑誌
ペストロジー学会誌 (ISSN:09167382)
巻号頁・発行日
vol.8, no.1, pp.52-53, 1993-10-20
被引用文献数
1
著者
秋元 俊男
出版者
日本ペストロジー学会
雑誌
ペストロジー学会誌 (ISSN:09167382)
巻号頁・発行日
vol.6, no.1, pp.35-37, 1991-12-25

銅で作られた容器にはヤブカ類の発生を抑制する作用があるが,これは銅特有の現象と思われる.銅の影響はヤブカ類の産卵数に対しては見られないが,発育過程の幼虫に対して致死作用のあることを前報で明らかにした(秋元,1989).今回の試験では,その致死作用が銅イオンによるものであることを明らかにし,次に銅イオンの濃度と致死作用との関係を調べた.
著者
中野 敬一
出版者
日本ペストロジー学会
雑誌
ペストロジー学会誌 (ISSN:09167382)
巻号頁・発行日
vol.18, no.2, pp.85-90, 2003-10-30
参考文献数
12
被引用文献数
5

屋外公共施設のゴキブリ相と季節消長について,2000〜2002年に東京都港区の屋外公共施設で夜間観察と粘着トラップによる捕獲により調査を行った.確認されたゴキブリの種類はクロゴキブリとヤマトゴキブリであった.夜間観察ではクロは7〜10月に,ヤマトは4,5,10,11月に多く見られた.クロは成・幼虫ともに同じ時期に確認数が増加したが,ヤマト成虫は5〜7月の幼虫の少なくなる時期に多くなる傾向があった.また,確認された幼虫はクロもヤマトも大型の個体が多かった.捕獲した幼虫の前胸背幅を測定した結果,クロは2〜4mmの小型幼虫が,ヤマトは4〜8mmの大型幼虫が多く捕獲された.
著者
青山 修三 村上 竜仁
出版者
日本ペストロジー学会
雑誌
ペストロジー学会誌 (ISSN:09167382)
巻号頁・発行日
vol.19, no.1, pp.25-29, 2004-04-30 (Released:2019-07-11)
参考文献数
4
被引用文献数
2

2003年北海道内胆振,日高,石狩,留萌,宗谷,空知地方に点在する史跡におけるシロアリ生息調査をした結果,胆振地方室蘭市内で初めてヤマトシロアリの生息が確認された.また今回の調査範囲では現存する歴史的建築物にシロアリ被害は見られなかった.特に胆振と空知地方はいまだ家屋被害が発見されていないので,継続調査が必要であると考えられた.
著者
金山 彰宏 小曽根 惠子
出版者
日本ペストロジー学会
雑誌
ペストロジー学会誌 (ISSN:09167382)
巻号頁・発行日
vol.17, no.2, pp.81-85, 2002-09-30 (Released:2019-07-11)
参考文献数
6
被引用文献数
1

越冬から目覚めたコガタスズメバチの女王を用いて,古い巣盤への産卵誘引とコロニー形成に向けての室内飼育を行った.その結果,女王蜂による古い巣盤への産卵が確認された.約2ヶ月の室内飼育後,屋外に移設した巣は,その後,自然環境の巣と変わらぬコロニーを形成した.屋外に移設後,ビデオカメラを用いて,働き蜂の日周活動を観察した.帰巣働き蜂による餌の持ち帰り状況から,一コロニーにおける捕獲昆虫類の個体数を計算すると,年間約20,000個体と推計された.