著者
志熊 聡美 花房 規男 髙橋 郁太 吉嶺 朝陽 土谷 健
出版者
一般社団法人 日本透析医学会
雑誌
日本透析医学会雑誌 (ISSN:13403451)
巻号頁・発行日
vol.53, no.9, pp.453-459, 2020 (Released:2020-09-28)
参考文献数
27

【目的】経皮的血管拡張術 (PTA) の間隔を延ばすことで, 患者のQOL向上, 最終的には医療費の削減につなげられる可能性を考慮し, PTA後, 再PTAに至るまでの期間に影響する要因を検討した. 【方法】2017年1月1日~2019年12月31日にPTA施行歴 (初回PTAを除く) のある142名 (女性43名, 男性99名) を対象に, ① PTAで使用するバルーンの種類や径などのPTA因子, ② 原疾患や透析間体重増加量や血圧, 検査値などの患者因子, ③ 透析条件, 内服薬・注射薬の治療因子が, それぞれPTA施行間隔に影響するかを, 性別ごとの層別解析も含めて検討した. 【結果】PTA時の拡張圧が高いほどPTA間隔が有意に短かった (ハザード比1.05 (95%信頼区間1.01-1.10), p=0.012). また, ワルファリン内服群でPTA間隔が有意に短かった (ハザード比2.25 (1.27-3.97), p=0.005). 一方, 性別はPTA間隔との間に有意な関連はみられなかった. 【結語】PTA間隔に影響する独立因子として, 拡張圧とワルファリンが抽出された. もともとの血管の状況と関連している可能性が示唆されるが, PTA時には血管を愛護的に扱うよう心掛けたい. 一方で, 患者自身の努力でPTA間隔を改善しうる要因は検出されなかった.