著者
恒屋 昌一 臼井 永男
出版者
日本理学療法士学会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.33, no.1, pp.30-37, 2006-02-20 (Released:2018-08-25)
参考文献数
16
被引用文献数
8

近年,いわゆる足趾が床面に接地していない「浮き趾」の問題が指摘されている。本研究では,近年の成人期における直立時の足趾接地の実態を明らかにすることを目的に,独自に作成した足趾接地に関する定性的な評価法を作成し,地域に在住する健常成人155名を対象に足趾接地の状態を調査した。その結果,開眼安楽での閉足位すなわち開眼自由閉足位では,両足のいずれかの足趾の接地が十分でないものは,男性では66.0%,女性では76.2%にみられ,男性より女性において足趾接地に問題がある傾向がみられた。とくに第5趾において,「浮き趾」は男性では右足46.0%,左足30.0%に,女性では右足38.7%,左足35.8%に確認された。また,足趾が十分接地するよう努力した開眼努力閉足位では,開眼自由閉足位に比べて浮き趾の出現率はかなり減少したが,それでも不完全な接地を呈するものは男性では22.0%,女性では35.2%いることが判明した。これらの結果から,今日の健常成人において,静的立位では足趾が完全に接地しない人が多く存在することが確認された。