著者
粕本 博臣 山本 貴敏 櫨木 聡 金光 秀史 西田 賀計 織田 善子 亀井 裕知 宮地 智弘 玉置 尚康 安井 智彦 下村 幸平 平野 奈穂子 山本 泰嵩 中村 明日美 成山 真一 中西 健
出版者
一般社団法人 日本透析医学会
雑誌
日本透析医学会雑誌 (ISSN:13403451)
巻号頁・発行日
vol.47, no.12, pp.737-742, 2014 (Released:2014-12-22)
参考文献数
14
被引用文献数
4 4

症例は90歳, 女性. 2002年7月から週3回の血液透析中, 高K血症のコントロール不能であったため, ポリスチレンスルホン酸カルシウム (CPS) を服薬中であった. 2012年12月中旬, 腹痛を主訴に救急外来を受診, 腹部CTにて腹腔内遊離ガス像・結腸内に硬便を認めた. 消化管穿孔・汎発性腹膜炎と診断し, 緊急手術となった. 下行結腸に穿孔, 同部に便塊を認め, 横行結腸+下行結腸部分切除術, 人工肛門造設術を施行した. 病理組織標本で穿孔部に一致してcrystalline materialを認め, CPSが結腸穿孔に関与した可能性が示唆された. 術後, 播種性血管内凝固・敗血症に陥り, エンドトキシン吸着等の集学的治療を行うも救命することができず, 第4病日に死亡した. CPSは陽イオン交換樹脂であり, 高K血症の治療に使用されるが, 副作用として便秘が多い. 腸管穿孔の報告も散見され添付文書でも注意勧告がなされている.
著者
平島 知圭 和泉 雅章 三角 文子 川越 英子 末光 浩太郎 成山 真一 福本 裕美 許林 友璃 中西 健
出版者
The Japanese Society for Dialysis Therapy
雑誌
日本透析医学会雑誌 (ISSN:13403451)
巻号頁・発行日
vol.39, no.2, pp.105-110, 2006-02-28 (Released:2010-03-16)
参考文献数
13
被引用文献数
2

メシル酸ナファモスタットは, 出血性病変を有する症例の血液透析施行時の抗凝固薬として広く用いられている. われわれは維持透析患者12名において, 同薬の先発品と後発品使用時における血液透析回路内の析出物の量, および抗凝固薬としての作用をそれぞれクロスオーバー法により比較検討した. 抗凝固薬としての作用は両者で差がみられなかったが, 回路内析出物の量に関しては, 後発品使用時の方が有意に大量であった. 析出物の量に違いが生じた原因としては, 先発品と後発品の添加物の違い, 不純物混入量の違いなどが考えられた. 後発医薬品導入の際には, それが先発品と完全に同じ薬剤とはいえない場合がありうることを考慮して, 作用の強さや副作用に関して慎重に検討する必要がある.