著者
成澤 朋紀 米澤 千夏
出版者
システム農学会
雑誌
システム農学 (ISSN:09137548)
巻号頁・発行日
vol.38, no.4, pp.59-66, 2023-02-28 (Released:2023-10-06)
参考文献数
12

リモートセンシングデータの画像分類により、宮城県石巻市北上周辺において東日本大震災後のタケの拡大状況把握を試みた。高分解能衛星であるPleiades-1A衛星で2015年4月30日に観測されたデータおよびWorldView-3衛星で2019年4月29日に観測されたデータを用いてサポートベクターマシーン(SVM)によって画像分類を行った。分類精度は、Pleiades-1A衛星画像においては、全体精度が93.0%、タケのユーザー精度が98.8%、プロデューサー精度が85.0%となった。WorldView-3衛星画像においては、全体精度91.0%、タケのユーザー精度が81.0%、プロデューサー精度が81.0%となった。分類結果において、落葉樹林内にタケの細かい誤分類が多く発生し、落葉広葉樹との判別が課題となった。衛星画像の取得時期は、落葉広葉樹の新葉の展開前が望ましいと考えられた。誤分類に留意して2015年のPleiades-1A衛星画像および2019年のWorldView-3衛星画像の分類結果を比較したところ、北上の一部地域でタケの拡大が確認できた。対象地域において竹林の管理不足による分布の拡大の懸念があり、適正な管理が必要になると考えられる。