著者
近藤 君夫 戸井田 仁一 蟻川 幸彦
出版者
長野県工業技術総合センター食品技術部門
巻号頁・発行日
no.33, pp.36-44, 2005 (Released:2011-03-05)

安全・安心こだわり畜産サポート事業の一環として,鶏肉,豚肉,牛肉の遊離アミノ酸を調査した.鶏肉,豚肉及び牛肉の遊離アミノ酸としては,グルタミンが畜種を問わず最も豊富なアミノ酸であった.次にアラニン,グリシン及びセリンなど甘味系のアミノ酸が多く,肉のおいしさの基となっていることが推察された.また,鶏肉はタウリンが203mg/100gと魚介類に準じて豊富に含まれていた.抗酸化力のあるジペプチドであるアンセリンとカルノシンも豊富で,アンセリンは鳥類の鶏肉に多く,カルノシンは哺乳類の豚肉と牛肉に多く含まれていた.鶏肉では,130日頃まで飼育日数が進むに伴い,タウリンは増加し,アスパラギン,グリシン,リジン,アルギニン,アンモニア,アンセリン及びカルノシンは,減少する傾向が認められた.
著者
戸井田 仁一
出版者
日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 = Journal of the Brewing Society of Japan (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.107, no.7, pp.485-490, 2012-07-15

みそ,しょうゆをはじめとして,発酵調味食品は,食品や加工食品等の調味の用途に用いられ,その品質は人の味覚による官能検査によって評価されている。調味食品の味は,多数の呈味成分の複合的な作用が,人の味覚によって感じ取られることで,認識されている。食品の開発研究では,官能検査による評価を行っているが,人の味覚を利用することから,評価値の安定性,多大な労力のために,センサーによる客観的評価値の導入が望まれている。近年では合成脂質膜や半導体をもちいた味センサーや匂いセンサーなどの装置が市販されている。食品の品質管理や新製品開発のために,迅速かつ簡便な評価技術としてセンサー技術が注目されている。著者らは,いち早く味センサーを導入し,長野県特産のみそ,しょうゆの品質評価の試験研究を行ってきた。そこで,味センサーの実際の測定例をあげながら,発酵調味食品における味センサー技術の利点と問題点について解説した。