著者
高木 修 戸口 愛泰
出版者
関西大学
雑誌
関西大学社会学部紀要 (ISSN:02876817)
巻号頁・発行日
vol.37, no.2, pp.3-28, 2006-03-25

本研究では,近年増加する社会問題(e.g.,未成年による犯罪,いじめ,虐待)の原因究明と解決への手がかりを得るために,人と人との「絆」に着目した。まず,「絆」現象を深く理解するために,「絆」についてのイメージや態度に関するステートメントを自由記述法で収集し,それらの内容分析を通じて,5つのカテゴリーを確認した。つぎに,それらのカテゴリーに基づいて母子間の絆尺度を作成し,194名の母子(ペア)を対象に「絆」意識を測定し,その回答を因子分析にかけた結果,4つの「絆」因子が抽出された。これらの意識と関係満足度との関係から,肯定的な情緒的先行要因と自然発生的な安定性認識が母子関係の満足度を向上させることが明らかになった。