- 著者
-
戸塚 元吉
福迫 陽子
笹沼 澄子
- 出版者
- The Japan Society of Logopedics and Phoniatrics
- 雑誌
- 音声言語医学 (ISSN:00302813)
- 巻号頁・発行日
- vol.24, no.4, pp.257-269, 1983-10-25 (Released:2011-01-31)
- 参考文献数
- 59
左側脳硬塞による失語症患者69例 (年齢28~81歳) の失語症検査成績と脳のCT所見との関係について, 側面図に投影する方法を用いて集計し, 以下の知見を得た.1.多くの検査項目において側頭葉の関与が大きかった.2.前頭葉と特に密接な関連にあったのは次の下位検査であった.すなわち, 「嚥下機能」, 「軟口蓋の運動性」, 「単音節のくり返し」, 「音韻変化」, 「流暢性」である.また側頭葉, 頭頂葉下半部と特に密接な関連が示されたのは「復唱」であった.3.入・出力モダリティーが同じ下位検査であっても, 言語処理の複雑さ, ないしレベルの差異によって脳の関与のしかたが異なっていた.4.検査遂行にあたっての入・出力モダリティーや言語処理の複雑さ, ないしはレベルが異なっているにもかかわらず, その差異が今回の結果に反映されない下位検査も認められた.