著者
岡島 義昭 福井 寛 戸所 秀男 鉾谷 義雄
出版者
公益社団法人 日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.29, no.6, pp.351-356, 1980
被引用文献数
1

チタン0.4%及びニオブ0.3%を添加した25%クロム-20%ニッケル鋳鋼中の微小炭化物をマイクロプローブオージェ電子分光分析装置を用いて定量的に分析した.装置は最近試作したもので,電界放射型電子銃を用いて最高分解能20nmを得ている.米国標準局(NBS)のステンレス鋼標準試料を用いて定量性を検討し,クロム,鉄及びニッケルのピーク強度の和とそれぞれのピーク強度との比を用いて,濃度との間によい直線関係を得た.これらの結果を鋳鋼中の炭化物の分析に適用し,炭化物はチタンとニオブを含むMC型及びクロムと鉄を含むM<SUB>23</SUB>C<SUB>6</SUB>型の2種で,その組成はそれぞれ(Nb<SUB>0.2</SUB>Ti<SUB>0.8</SUB>)C及び(Fe<SUB>0.27</SUB>Cr<SUB>0.73</SUB>)<SUB>23</SUB>C<SUB>6</SUB>であると推定した.