- 著者
-
戸瀬 信之
- 出版者
- 慶應義塾大学
- 雑誌
- 基盤研究(C)
- 巻号頁・発行日
- 2003
1(特異約なフーリ工積分作用素)線形双曲型偏微分方程式の解の(超局所)特異性の伝播の研究においては、解の特異性の分岐、conical refractionなど様々な現象が解析されてきた。特に、結晶光学に現れるconical rehactionの現象は、自然界に現れる自然なものとして多くの視点から研究が進められてきた。1985年ころから、conical refractionの研究に、余接束をその包合的な多様体に沿って爆裂して解析を行なう第2超局所解析(second microlization)を用いて分析を行なうことが試みられ、P. Laubin(LIEGE大)や私の研究により一定の結果を得る事ができた。第2超局所解析は、包合的な多様体上の超局所特異性を、余接束をその包合的な特性多様体にそって爆裂した空間上で解析を行なうものであるが、上で述べた研究で中途半端になっているものがある。超局所解析では、量子化接触変換、フーリ工積分作用素によつて、擬微分方程式が単純特性的な点において簡単な標準形にうつることが示されているが、第2超局所解析ではこの方向の研究が不十分である。すなわち、変換理論自体はあるのであるが、マイクロ函数の第2超局所特異性を分解した層を部分層として含む第2マイクロ函数の層の枠組みで構成されたものである。この研究では、解の構成に変換理論が使えるように、マイクロ函数の第2超局所特異性を分解した層の枠組みで変換理論を構成するための様々な準備を行なつた。2(第2超局所特異性の基礎的な研究)第2超局所解析で自然に現れる第2超函数の層は、正則包合的な多様体上に制限した佐藤のマイクロ函数の層を含む。この第2超函数の層を退化した偏微分方程式の境界値問題に応用した。