著者
石黒 京子 奥 尚枝 扉間 晶規
出版者
武庫川女子大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1995

アレルギー反応を阻害する新規物質を天然資源から探索するため、これまでにアナフィラキシ-を短期間に誘発するマウスモデルを作製し、このアナフィラキシ-によるマウスの死亡率、さらにアナフィラキシ-に基づく血圧降下をを指標とした新規アッセイ法を確立してきた。この研究期間では上記のアナフィラキシ-アッセイ系が独創的に多方面にわたって有用に活用出来ることを以下の実験において証明した。1、上記のアナフィラキシ-発現にかかわるケミカルメディエーターの血圧に与える影響を先のアッセイ系を用いて検討した。その結果ヒスタミンがアナフィラキシ-の血圧低下のイニシエーターとして作用し、PAFおよびセロトニンがアナフィラキシ-症状の持続に関与するが、ブラジキニンは関与しないことを明らかにした。また感作により外因性のヒスタミン感受性が増加することも判明した。2、上記血圧低下および先の感作マウスのヒスタミン感受性増加に、NOが関与することを証明し、本法が天然資源より抗アレルギー薬としてのNO合成酵素阻害物質の探索に応用できることを示した。3、我々が開発したアッセイ法を用いて天然から見い出したホウセンカ(Impatiens balasamina L)の白色花弁の35%エタノールエキスの活性成分を単離し、構成決定を行い、アンフィラキシ-活性本体がフラボノ-ると1、4-ナフトキノ誘導体であることを確認した。またそれらの抗体産生前後やメディエーター遊離段階におけるアナフィラキシ-抑制作用メカニズムを明らかにした。現在も細胞レベル、分子レベルでのメカニズム解明に取り組んでいる。4、これらの実験を進めるに当たって、さらに多数の検体に対応できるように、上記血圧法の血圧変動のパターンを解析し、新たな測定法を作成した。