著者
三枝 俊哉 手島 茂樹 小川 恭男 高橋 俊
出版者
日本草地学会
雑誌
日本草地学会誌 (ISSN:04475933)
巻号頁・発行日
vol.51, no.1, pp.1-6, 2005-04-15
参考文献数
15
被引用文献数
4

北海道中央部の気象条件でグリホサート系除草剤の播種前雑草処理を用いて8月に造成したケンタッキーブルーグラス放牧草地において, 造成翌年の地上部および地下部の発達過程を調査し, その生産性の水準と適正な放牧管理法について検討した。ケンタッキーブルーグラスの直立茎数は造成年越冬前には約10,000本/m^2に達して越冬し, 翌春の萌芽期を迎えた。この高密度の直立茎数は, 5, 6月の出穂期以降一時的に減少するが, その後順次新分げつが生じて, 秋には前年秋の水準に回復するという季節変化を示した。これに対して, 地下茎の生長は地上部より遅れて始まった。地下茎は, 造成翌年になって初めて急激に発達し, 7月までに150m/m^2に達した。地下茎長が十分に発達した7月以降には, 体重500kg換算で3頭/ha程度の放牧圧を加えても, 草地の生産性に特に目立った障害は認められなかった。以上のように, 播種前雑草処理を行って造成したケンタッキーブルーグラス草地では, 造成翌春から地上部の乾物生産性は良好に発揮されるが, 地下茎が発達するまでの間, 放牧圧を低めにするか, 刈取りによって管理することが望ましいと判断した。