著者
折橋 幸代
出版者
人文地理学会
雑誌
人文地理学会大会 研究発表要旨
巻号頁・発行日
vol.2004, pp.23, 2004

本発表では、高齢者の外出行動パターンの特徴を明らかにするため、第2回および第3回の「富山高岡広域都市圏パーソントリップ調査データ」を分析する。富山県は全国的にも高齢化が進んでいる県のひとつであり、2025年には高齢化率が30%を超えると推計されている。なお、トリップとは「何らかの目的を達するために行われる空間移動」である。分析の結果、外出率は加齢に伴って減少するが、平均トリップ数は65歳以上75歳未満の前期高齢者が非高齢者よりも多いことがわかった。就業者ほど1トリップ当たりの平均トリップ所要時間が長く、どの年代も20分程度である。平均トリップ所要時間は2時点を比較してもほとんど差がない。代表交通手段は、男女とも加齢に伴い徒歩トリップが増加し、自動車トリップが減少する。非就業者が多い高齢者は、通勤・帰宅ラッシュ時を避けてトリップが発生し、午前と午後の2回ピークがある。なかでも午前10時台に発生する全トリップのうち3割が高齢者のトリップである。2時点を比較すると、高齢者の非外出パターンは減少している。高齢者の特徴としては、「私用・帰宅」パターンが2割以上を占め、通学・通勤・業務関係のパターンが少ない。平均トリップ数は、非高齢者よりも前期高齢者のほうが多くなる要因を探ることが今後の課題である。