著者
松本 英樹 掛端 健士 兵頭 武史 花田 憲正 辻 陽子 稲船 清英 村中 早苗 星野 佐登志
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.56, no.9, pp.595-599, 2003

日本の犬ぞり犬において, 現場に即した運動処方を作成するために各種の検討を行った. その結果, 運動処方作成にあたっては, 年齢等による運動能力の近似した群分けの必要性が示唆された.また1回の運動負荷で乳酸閾値, 酸塩基平衡を基に個体別の運動処方を作成できる可能性が示唆され, 過剰な運動負荷を防止するために2回目の運動負荷も有用であると思われた.PRESCRIPTIONDIET<SUB>&reg;</SUB> a/d (a/d) を通常食に追加投与すると, a/d投与前と比較して投与後は, 運動負荷後のアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ (AST) の増加もなくなり, 血中の重炭酸塩および静脈血二酸化炭素分圧の回復も早いことが認められた.しかし, a/d投与後では運動負荷に関係なくナトリウム, クロライドの上昇を伴う血漿浸透圧の上昇が認められたことから, 塩分過剰投与などが危惧され, さらに十分な水分補給の必要性が示唆された.