著者
播摩 敏雄 曽根 敏夫
出版者
The Institute of Noise Control Engineering of Japan
雑誌
騒音制御 (ISSN:03868761)
巻号頁・発行日
vol.27, no.5, pp.365-372, 2003-10-01

バイク用ヘルメットの装着が, バイク運転者による警笛音, 車輌の接近音などの到来方向に対する判断にどのような影響を及ぼすかを聴取実験によって調べた。ヘルメットは, 両耳を覆い, 音を遮断し, ヘルメット全体の振動を通して内部に音を伝えるため, 音源の認識や方向を誤らせる要因となる。聴取実験の結果は, 音源が被験者の前方にある場合に判定がやや良く, 側方や後方にある場合は判定が困難になる。また, ヘルメット装着時の方向判断は, 低い周波数帯域 (0.25, 0.5kHz) の音では, 遮音の影響よりもヘルメット内での反射や共振が方向定位に影響を与える。高い周波数帯域 (4, 8kHz) では, ヘルメット自体の遮音量が大きいことから, ラウドネスの低下が方向定位に強く関与していることが示された。