著者
多湖 輝興 河瀬 元明 政木 義則 橋本 健治
出版者
公益社団法人 化学工学会
雑誌
化学工学論文集 (ISSN:0386216X)
巻号頁・発行日
vol.24, no.1, pp.81-85, 1998-01-10 (Released:2009-11-12)
参考文献数
11
被引用文献数
4 6

本研究では, アルミニウムトリイソプロポキシド (ATI) を原料に用い, アルミナ薄膜を製造し, 反応速度解析を行った. CVD 反応には, 主に2つの反応経路がある.一つは, 原料が気相中で熱分解し, 生成した中間体が膜表面に拡散により移動し成膜する経路である.もう一つは, 原料が膜表面に拡散により移動し, 膜表面上に吸着した原料が熱分解し成膜する経路である. ATI からのアルミナ成膜反応について, どちらの反応経路が支配的であるかを調べるため, 管径の異なる細管型熱 CVD 反応器を用い, 反応器の体積と基板の表面積との比 V/S を変えて実験を行った.その結果, ATI からのアルミナ薄膜生成反応は, 原料である ATI 濃度に比例する1次反応であり, 気相での熱分解が主要な反応経路であることがわかり, また薄膜生成反応速度定数を定式化することができ, 活性化エネルギーは 179kJ/mol と求まった.