著者
山名 信子 岡部 和代 中野 慎子 銭谷 八栄子 斉田 つゆ子
出版者
Japan Ergonomics Society
雑誌
人間工学 (ISSN:05494974)
巻号頁・発行日
vol.20, no.3, pp.171-178, 1984-06-15 (Released:2010-03-11)
参考文献数
12
被引用文献数
6 6

妊婦用衣服設計のための基礎資料を得るために, 妊婦520名から1,000例の計測値を得た. 経時的に, 妊娠2カ月から産月にいたる妊婦の身体を44項目について計測した. 腹部と胴部の矢状径および周径に関する項目に著しい変化を認め, これらは4カ月以後直線的な増加となった. しかし高径に関する項目には変化がなかった.主成分分析の結果, 妊婦の体型は次の3成分によって捉えることができた. 第1主成分は size factor で, 身体の大きさを表す因子である. 第2主成分は shape factor で, 身体の肥痩度を表す因子である. 第3主成分は妊婦の体幹部の特徴を表す因子である. 各主成分別個人スコアを妊娠月数別にみると, 第1主成分のスコアは上昇直線を示し, 第2, 第3主成分のスコアは直線的に漸減している.したがって, 妊娠用衣服のサイズは妊娠月数で決定することはできない. 妊娠月数の経過に伴う身体部位の寸法や体型の変化があるので, これらを考慮した衣服設計が要望される.