著者
斉藤 俊介 寺岡 文男
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.103, no.354, pp.19-24, 2003-10-08

本稿では,無線ネットワーク環境に適したトランスポートプロトコルTCP-JをNetBSD1.6.1-Releaseのカーネル内に実装し,dummynetにより無線区間をエミュレートすることで既存のTCPとの性能比較を行った.その結果,TCP-Jは無線リンクでのランダムなセグメント損失率が2×10^<-2>のとき,NewRenoと比べて約128%,SACKと比べて約100%のスループット向上んを得ることができた.また,TCP-Jはセグメント損失率が0の場合は従来TCPと公平にバンド幅を分け合い,セグメント損失率が増加して従来TCPのスループット低下によって無線リンクの上のバンド幅に空きができた場合には,他のTCP通信を圧迫せず,その帯域を有効利用してスループットを改善できることが分かった.