著者
森藤 隆夫 渡辺 進 七宮 実 斉藤 孝一 西間木 友衛 吉田 浩 粕川 禮司
出版者
The Japan Society of Hepatology
雑誌
肝臓 (ISSN:04514203)
巻号頁・発行日
vol.22, no.3, pp.422-429, 1981
被引用文献数
3 2 11

各種膠原病(SLE 23例,RA 26例,PM-DM 17例,PSS 10例,Sjö-s 7例,Aort-s 4例)87例について,肝機能検査成績と生検肝組織を検討した.その結果,肝腫大17例(19.5%),黄疸8例(9.1%), HBs抗原陽性2例(2.8%), HBs抗体陽性18例(20.7%), Al-p値異常15例(17.2%), ICG異常16例(18.4%)が認められた.一方,経過中,GOT, GPT値に異常が認められた例は61例(70.1%), GOT, GPT値が100Ku以上であった例は,それぞれ36例(41.4%),16例(18.4%)であり,SLE, PM-DMに多くみられた.<BR>生検肝による組織学的検索は40例に行ったが,慢性肝炎様組織群6例,急性肝炎様組織群3例,非特異性肝炎群13例,脂肪変性群11例,正常組織群7例と多彩であり,その中ではSLE, Sjö-sで組織変化が強かった.以上の原因として,薬剤,肥満,ウイルス感染,悪性腫瘍の肝転移例が少数みられたが,多くは原因不明であったことから,膠原病においても何らかの肝障害が生じるものと思われた.