著者
小川 謙 横岡 真由美 石角 鈴華 斉藤 容子
出版者
Japanese Society of Environmental Infections
雑誌
環境感染 (ISSN:09183337)
巻号頁・発行日
vol.21, no.2, pp.91-95, 2006-06-30 (Released:2010-07-21)
参考文献数
9

N95マスクの装着に際し, フィットテスト, フィットチェックによるトレーニングが重要であると言われている. 今回, 我々は自己流で装着した場合, どの程度正しくマスクがフィットしているのかの実態調査を行い, また集団指導でもフィットチェック及びフィットテストを含む実技指導は効果があるかを検証した. その結果, S病院に勤務する職員79名の内61%が, 自己流ではマスクがフィットしていなかった. さらに, フィットしなかった職員を「指導群」「非指導群」の2群に分け, 集団実技指導の効果を検討したところ,「指導群」において有意にN95マスクがフィットするようになつた (P<0.05). このことから, 指導の重要性が明らかとなり, 方法は個別指導でなくとも, 集団指導でも効果があることが示唆された. 一方, 指導した群においても36%がフィットしなかった. これらの職員に対しては, 個別指導を加え, さらに密着性が得られない場合は, フィットするマスクの選択ができるよう, 数種類の常備が必須である.