著者
斉藤 瞳 白川 清美 橋浦 弘明 山下 公太郎 古宮 誠一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. KBSE, 知能ソフトウェア工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.107, no.429, pp.43-48, 2008-01-14

芝浦工業大学情報工学科の3年生は,ソフトウェア開発の知識や技術を習得するために,幾つかのチームに分かれ,チーム単位で演習を行う.しかし,学生のソフトウェア開発能力にバラツキがあるので,与えられた課題を期日までに達成できないチームがあるという問題が生じていた.そこで橋浦ら[1]は,ソフトウェア開発に必要な各役割を遂行する学生の能力に影響を及ぼす人的要因が既知である場合に,それを利用してチーム編成の最適案を自動生成するシステムEtUDE/GOを開発した.しかし,チーム編成に影響を及ぼす人的要因については未知のままであった.そこで著者らは,共分散構造分析などを導入して,チーム編成に直接影響を及ぼす真の要因と,間接的に影響を及ぼす代用特性との間の関係式を求め,求められた関係式をEtUDE/GOに適用してチーム編成の最適案を自動生成した.そして,各学生が行った作業のログ情報を利用して求めた,各学生の貢献度評価などにより,チーム編成の最適化が演習授業にもたらした影響を分析した.分析の結果,実際の演習授業では,これらの学生達が期待どおりに活躍した.その結果すべてのチームが演習課題を無事に達成できたことを確認している.