- 著者
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金田 重郎
世古 龍郎
- 出版者
- 一般社団法人電子情報通信学会
- 雑誌
- 電子情報通信学会技術研究報告. KBSE, 知能ソフトウェア工学 (ISSN:09135685)
- 巻号頁・発行日
- vol.111, no.396, pp.61-66, 2012-01-16
要求分析では,母語を用いて仕様を記述する.Object指向分析は要求分析の代表的な手法の一つであるが,ここでも,クラス名等には母語が使われる.本稿では,英語圏で生まれたObject指向を利用するとき,日本語と英語の違いを考慮するべきことを問題提起する.具体的には,認知言語学の立場から,クラス図の構造は英語の5つの基本文型そのものであることを示す.例えば,クラスとは可算名詞,メソッドは動作動詞,関連は状態動詞,Has-s関係は第4文型(S+V+O+O),Is-a関係は第5文型(S+V+O+C),である.これによって,GOFのデザインパタンの理解も容易になる.一方,日本語と英語の構造は大きく異なっている.日本語仕様からクラス図を描くことは,日英翻訳に等しい.上記の問題意識から,本稿では,日英翻訳のプラクティスを取り入れた日本語仕様からのクラス図作成手法を提案する.具体的には,英語のS+V+Oに相当するエネルギーの伝搬を見つけだすため,格助詞「が」「を」「で」「に」を用いて日本語仕様を単文にリライトする.この際,日英翻訳のプラクティスを準用する.提案手法は,初心者がクラス図を学ぶ際の,ひとつの「指南」となる.