著者
斎藤 まさ子 内藤 守
出版者
新潟青陵学会
雑誌
新潟青陵学会誌 (ISSN:1883759X)
巻号頁・発行日
vol.3, no.1, pp.33-42, 2010-09

本研究は、入院体験を契機に肥満となり退院後も肥満が持続している統合失調症当事者の、肥満になったきっかけと肥満が持続するプロセスを明らかにし、援助的視点を得ることを目的とした。N市内の地域活動支援センターに通う 3名の当事者に対して半構造的インタビューを行い、修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチを用いて分析した。その結果、3点の援助の必要性が明らかとなった。第一に、肥満を予防するために、入院中と退院後の活動性拡大の機会を見逃さない。急性期を脱し回復期初期の段階で、「暇」や「退屈」と感じるときを見定め、慎重に活動性拡大のアプローチを勧めて行く。第二に、抗精神病薬の副作用について正確な知識を普及し、主体的な肥満対策ができるように援助する。第三に、効果的な減量のための家族を含めた積極的な相談体制を確立する。
著者
中村 恵子 斎藤 まさ子 内藤 守 小林 理恵 田辺 生子 盛山 直美
出版者
新潟青陵学会
雑誌
新潟青陵学会誌 (ISSN:1883759X)
巻号頁・発行日
vol.12, no.2, pp.1-12, 2019-09

本研究の目的は、ひきこもり支援者の体験と求める支援について明らかにし、ひきこもり支援のあり方について考察することである。ひきこもり支援者3名を対象として、半構造化面接を行い、質的統合法(KJ法)を用いて分析した。 全体分析の結果、ひきこもり支援者の体験と求める支援について、【本人の生きづらさと傷つき感:社会性の乏しさと自分は駄目だという思い】、【本人や親への傾聴によるエンパワーメント:本人に見合った時間の中でのエネルギーの充足】、【本人と親との関係の調整:相互理解と親の変容からはじまる本人の変容と相乗効果】、【社会参加へのプロセス:意欲や自信をはぐくむ本人の困り感や必要性を伴った社会体験の積み重ね】、【本人や親を孤立させない支援:相談しやすい環境と専門家や支援機関による連携】、【支援者を孤立させない支援:支援者どうしの共助とサポート環境の整備】の6つのシンボルマークからなる空間配置が示された。ひきこもり支援において、社会参加に向けた支援や、本人や親、支援者を孤立させない支援が求められる。