著者
斎藤 政義 木寺 謙爾 福屋 智亘 戸井田 浩
出版者
公益社団法人地盤工学会
雑誌
土質工学会論文報告集 (ISSN:03851621)
巻号頁・発行日
vol.19, no.1, 1979-03-15

鋼管杭の表面にアスファルトすべり層(平均厚2.0mm)とその保護層(厚1.5mm以上)を塗布しネガティブフリクションの低減をはかるNFパイルの紹介である。扇島現場における900日の観察結果ではφ609.6×9.5mm, 長さ42mの鋼管杭の最大軸力は無処理の場合に240t/本, NFパイルでは35t/本となり効果が認められた。この敷地の900日間の沈下量は約30cm, 地盤沈下を生じている地層の厚さは約30mである。NFパイルの設計用周辺摩擦力は扇島の場合に0.6t/m^2であるが, 地盤沈下速度などによりこの値は異なるものとなる。砕石や転石の埋立て土層を持つ沖積層の敷地8か所での打込み・引抜き試験の結果では保護層にかすり傷が生じたもののアスファルト層は無事であった。また打込みによる保護層のずれは数mm以下で実用上支障ない。各杭の先端にはフリクションカッターがついているが, 打込み時の抵抗は無処理杭と同じであった。1年間の屋外暴露試験や強制吸水試験の結果, アスファルトの粘度に大きな変化は見られず耐久性についても実用上問題ないと考えられる。