著者
藤田 圭一 山口 靖紀 木寺 謙爾 島岡 久寿 小間 憲彦
出版者
土質工学会
雑誌
土質工学会論文報告集
巻号頁・発行日
vol.18, no.4, 1978

この基礎は鋼管矢板を円形や小判形等の閉鎖形状に打ち込み, 継手部にモルタル等を注入し, 各矢板頭部を鉄筋コンクリートで剛結し, 一体性を高め, ケーソンと同様の効果を得るようにしたものである。最終的に鋼管矢板を閉鎖状に閉合させ, 全鋼管矢板が一体となって外力に抵抗するところに特徴を有するので, 施工上, (1)鋼管矢板を能率的に精度良く確実に, 閉鎖形状に打ち込む。(2)鋼管矢板継手部にモルタルを注入し, 更に矢板頭部をコンクリートで剛結して, 矢板全体の一体性を高めることが必要であるとしている。設計法の基本「矢板式基礎の設計と施工指針」の問題点として, 水平方向地盤反力係数K_<H1>の設計値は(1)基礎部は周辺地盤より1.5m掘削して築造されているため, 周辺地盤に上載荷重が載った様になり, みかけ上K_<H1>が大きくなる。(2)頭部コンクリートと地盤の間に摩擦抵抗が作用している。(3)井筒の中の土は矢板によって完全に閉鎖されているため, 実測値よりも多少小さい。また構造上の問題点として, 各矢板の井筒に対する一体効果, 合成効率について述べられている。
著者
斎藤 政義 木寺 謙爾 福屋 智亘 戸井田 浩
出版者
公益社団法人地盤工学会
雑誌
土質工学会論文報告集 (ISSN:03851621)
巻号頁・発行日
vol.19, no.1, 1979-03-15

鋼管杭の表面にアスファルトすべり層(平均厚2.0mm)とその保護層(厚1.5mm以上)を塗布しネガティブフリクションの低減をはかるNFパイルの紹介である。扇島現場における900日の観察結果ではφ609.6×9.5mm, 長さ42mの鋼管杭の最大軸力は無処理の場合に240t/本, NFパイルでは35t/本となり効果が認められた。この敷地の900日間の沈下量は約30cm, 地盤沈下を生じている地層の厚さは約30mである。NFパイルの設計用周辺摩擦力は扇島の場合に0.6t/m^2であるが, 地盤沈下速度などによりこの値は異なるものとなる。砕石や転石の埋立て土層を持つ沖積層の敷地8か所での打込み・引抜き試験の結果では保護層にかすり傷が生じたもののアスファルト層は無事であった。また打込みによる保護層のずれは数mm以下で実用上支障ない。各杭の先端にはフリクションカッターがついているが, 打込み時の抵抗は無処理杭と同じであった。1年間の屋外暴露試験や強制吸水試験の結果, アスファルトの粘度に大きな変化は見られず耐久性についても実用上問題ないと考えられる。