著者
カワン スタント 斎須 善文 奥島 基良
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. US, 超音波
巻号頁・発行日
vol.98, no.71, pp.1-6, 1998-05-22

我々は粉末グラファイトを混入した寒天製擬似生体組織(ファントム)とポリマー系マイクロバブルを混入したファントムを作製し、音響特性と超音波照射による温度上昇の測定を行った。超音波減衰に着目して、超音波照射による温度上昇のメカニズムの検討を行った。ほぼ同等な減衰定数を持つ両方の寒天製ファントムであるが、温度上昇には約2倍の差が生じた。この原因を検討するにあたり、超音波減衰を吸収減衰、散乱減衰に分けて考えた。後方散乱パワーを測定した結果、グラファイト混入ファントムはマイクロバブル混入ファントムより散乱パワーが2倍大きく、その分吸収減衰が小さかったと考えられる。両ファントムの超音波照射による温度上昇の違いは、この点に起因するものと考えられる。