著者
蓼沼 克嘉 鈴木 潤 新井 修 黒澤 きよ子 吉田 幸介
出版者
日本海水学会
雑誌
日本海水学会誌 (ISSN:03694550)
巻号頁・発行日
vol.57, no.2, pp.103-112, 2003 (Released:2013-02-19)
参考文献数
10
被引用文献数
2

海洋への大気CO2の吸収を促進させる方法として, 海水に含まれるCaイオンと炭酸種イオン (HCO3-, CO32-) を電気化学処理により反応させ, 炭酸カルシウム (CaCO3) を生成させることによって海洋表層の炭酸濃度を低下させる検討を行った. 海水を多孔質隔膜を介してフロー型電解処理した結果, カソード側で多量のH2ガスと2~20μmサイズのCaCO3微粒子が生成し, アノード側では少量のO2ガスが発生した. この電解処理によるCO2の気相への放出は無く, しかも生成CaCO3を沈降分離したカソード液とアノード液の混合海水のpHは8.3~8.7となり, 供試海水 (pH 8.1前後) に比ベアルカリ性となった. 海水の電解処理によって生成した沈殿物はaragonite-CaCO3とbrucite-Mg(OH)2が混在しており, 電解処理条件によってその生成量, 化学組成等が様々に変化した. 海水の電解処理によって海洋表層の炭酸イオンをCaCO3として沈降・海底堆積 (安定な固体の炭酸塩として生物圏から隔離) させれば, 表層海水の大気中CO2の吸収が促進されるものと考えられる, この方法は, 海洋表層の炭酸の深海への移動速度が遅いことに起因する大気中CO2の蓄積による地球温暖化問題の対策方法の一つとして利用できる可能性がある.
著者
新井 修 芝田 房枝 沢 仁子 池添 正哉 山口 博
出版者
一般社団法人 日本農村医学会
雑誌
日本農村医学会学術総会抄録集
巻号頁・発行日
vol.54, pp.149, 2005

【目的】<BR> 阪神淡路大震災から10年、地震列島であり台風の通過点と言われる日本において、どんな災害がいつあるかわからない。本年10月23日には透析中に新潟中越地震があり、当院においても震度2を経験した。緊急離脱及び避難について患者、スタッフ共に意識も高まってきている。しかし透析患者の高齢化も進み、自分で緊急離脱できる患者の減少が見られるため、5年前との離脱、避難について比較し、今回患者のレベルにあった対処方法をまとめたので報告する。<BR>【方法】<BR>1.全患者へアンケート調査、分析、検討<BR>2.緊急離脱・避難訓練<BR>3.環境整備<BR>4.患者会を含め学習会<BR>5.上記による患者個人に合わせた対応の検討と実施<BR>【結果および考察】<BR> 危機管理、災害対策についてスタッフ、患者とともに毎年「離脱訓練」「避難訓練」を行なってきた。5年前との比較を見ると高齢化が進んでおり、今回患者アンケートで介助者の増加がわかった。訓練後患者から「パニックになりそう」「自分の命は自分で守らないと」といった意見が見られた。患者個別の離脱方法、避難方法の用紙を渡すことで、患者個々の避難方法が認識でき安心感へとつながった。透析自体も自己血管型から人工血管、テシオカテーテル等多種多様化されてきているため、離脱方法、避難方法を患者の選定をすることでスタッフも動きやすくなり、無駄が少なくなった。患者会と協力し学習会を行なうことで災害に対して意識を高めることができた。スタッフも病院防災訓練時同時に訓練することで災害に対する意識も高まり、環境も整えることができた。当施設においても長野県内の透析施設災害ネットワーク加入により災害面への対処も一歩前進しつつある。<BR>【まとめ】<BR> 災害時には、まず患者の安全を第一に優先する。それとともに、スタッフ自らも一次、二次災害などに巻き込まれないことも重要である。それには患者層に沿った訓練、離脱方法を確立することは大切であり、スタッフの日々の意識と、訓練が大切である。<BR>※倫理的配慮として研究に当たって患者へ趣旨を充分説明、理解していただいた上でアンケート調査等を行なっている。