著者
境 有紀 福川 紀子 新井 健介
出版者
公益社団法人 日本地震工学会
雑誌
日本地震工学会論文集 (ISSN:18846246)
巻号頁・発行日
vol.9, no.5, pp.5_21-5_28, 2009 (Released:2011-06-13)
参考文献数
12
被引用文献数
3 3

地震発生直後の面的被害推定,あるいは,地震被害想定をより正確に行うことを目的として,建物の構造種別や層数などの建物種別を考慮に入れた建物群を人口データから構築することを試みた.具体的には,人口が集中する都市部ほど非木造建物,非木造高層建物が増えるのではないかと考え,建物種別を木造,9階以下の中低層非木造,10階以上の高層非木造の3つに分類し,1kmメッシュを対象として,関東圏3万メッシュから人口の大小,夜間人口と昼間人口の比を万遍なく網羅するように20メッシュを選んで調査を行い,そのデータを基に,メッシュ当たりのそれぞれの建物種別の棟数を国勢調査による夜間人口,昼間人口から推定する式を構築した.その結果,いずれの場合も高い精度でメッシュ人口からそれぞれのメッシュの建物種別の棟数を推定できることがわかった.ただし,団地など特殊なケースで,推定値が実際の棟数と異なり結果となり,その解決が今後の課題である.
著者
境 有紀 青井 淳 新井 健介 鈴木 達矢
出版者
公益社団法人 日本地震工学会
雑誌
日本地震工学会論文集 (ISSN:18846246)
巻号頁・発行日
vol.10, no.4, pp.4_14-4_53, 2010 (Released:2011-11-09)
参考文献数
10
被引用文献数
3 5

2008 年岩手・宮城内陸地震を対象として,道路事情により調査できなかったものを除く震度6 弱以上を記録した全ての強震観測点と5 強を記録した一部の強震観測点周辺の被害調査を行った.その結果,いくつかの観測点周辺で外壁のひび割れや外装材の落下,屋根瓦のずれといった軽微な建物被害は見られたが,いずれの観測点周辺でも,大破・全壊といった建物の大きな被害はなかった.観測された強震記録の性質について検討した結果,そのほとんどが0.5 秒以下の極短周期が卓越した地震動で,建物の大きな被害と相関をもつ1-2 秒応答は小さく,このことが大きな震度にもかかわらず建物の大きな被害が生じなかった原因と考えられる.