著者
中村 航洋 新井 志帆子 川畑 秀明
出版者
日本認知心理学会
雑誌
日本認知心理学会発表論文集 日本認知心理学会第13回大会
巻号頁・発行日
pp.144, 2015 (Released:2015-10-21)

顔魅力評価は急速かつ自動的に行われることが知られている。しかし,顔魅力評価が視覚的意識を伴わない無自覚的情報処理レベルで生じている可能性を直接的に検討したものはこれまでにほとんどない。本研究では,一時的に視覚刺激の意識的知覚経験を両眼間で抑制する連続フラッシュ抑制を用いて,閾下刺激提示時の無自覚的顔魅力評価特性と顔魅力が両眼間抑制に及ぼす影響について検討した。実験では,参加者の優位眼に連続フラッシュ刺激を提示する間,非優位眼に顔刺激を提示し,参加者は顔の意識的知覚が生じていた時間を報告した。実験の結果,両眼間抑制は魅力顔よりも非魅力顔に対して長く持続し,顔の意識的知覚経験が持続していた時間は,非魅力顔よりも魅力顔に対して長かった。よって,顔魅力評価は顔の意識的知覚経験が生じる前段階の無自覚的情報処理レベルで行われ,魅力顔に対する注意捕捉は,顔の意識的知覚の持続を促進することが示唆された。