著者
本田 真大 新川 広樹
出版者
一般社団法人 日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.71, no.3, pp.173-189, 2023-09-30 (Released:2023-10-06)
参考文献数
34

本研究の目的は児童青年の援助要請認知,援助要請スキルを測定する尺度開発に向けて,COSMINチェックリストに基づいて内容的妥当性の高い尺度開発を行うことであった。研究1(PROM開発研究)では小学4年生から高校3年生1,029名を対象に質問紙調査を実施し,内容分析を行った結果,援助要請認知に関する18個(援助要請期待感9個,援助要請抵抗感9個),援助要請スキルに関する12個の構成概念が得られた。研究2(内容的妥当性研究)では,関連領域の専門家(研究者及び実践家)9名に半構造化面接を行い,専門家視点からの尺度の関連性と包括性が支持された。研究3(内容的妥当性研究)では,当事者である児童青年484名を対象とした質問紙調査により,両尺度の教示文,想起期間,反応選択肢,及び各項目について90%以上の採択率が得られた。よって,関連性,包括性,わかりやすさが支持された。これらの結果を踏まえて,本尺度の特徴と限界,今後のCOSMINに基づく信頼性,妥当性,反応性の検証の必要性が議論された。