著者
新川 雄一 畑野 秀樹
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2008, pp.C3P1421, 2009

【目的】当地域ではホッケー(以下:HC)が盛んであり、当医師がHCのDrとして行なっていた.私自身、HCのサポートは初めてで、今回HC全日本中学選抜(以下:U-15)の海外遠征のメディカルサポート依頼があり、トレーナー活動をする機会があったので、HCの特性や外傷調査・実際に行なったトレーナー活動を報告する.<BR>【対象】平成19年12月3~11日オーストラリア、パースにて6~9日のFHEcupに参加.男子20名、平均年齢14.75±0.25歳、身長168.13±9.5cm、体重56.8±9.6kg.女子20名、年齢14.85±0.15歳、身長158.19±11.05cm、体重51.79±8kgの計40名の選手を対象にアンケート(日本HC協会及び選手・保護者に同意協力の元)、メディカルサポートを行なった.<BR>【方法】アンケート実施は、HCの特性を評価(厚労省の体力測定を自己効力感度にて複数回答)、U-15の身体評価、メディカルサポートの必要性等を調査し、トレーナー業務は、HCの受傷箇所の調査、コンディショニングの説明、Drの診断からのRISE処置、テーピング等のメディカルサポートを行なった.<BR>【結果】アンケートでは、走る項目に自信度が伺え、各ポジションでその特性の違いがあった.又男女間では、男性の方が控えめに複数回答したのに対し、女性は複数回答が多かった.障害受容については各部位に外傷を負っている選手が数名存在し、サポートなどの必要性がほしいとの回答が多く見られた.トレーナー業務は、障害予防のテーピング・予防方法などを指導.受傷は練習・試合を含め、外傷者が顔3名(13%)、腰部3名(13%)、上肢3名(13%)、下肢14名(57%)で下肢の受傷が最も多く、特に右6症例(12%)、左17症例(52%)と左に関る受傷が多かった.<BR>【考察】HCの特性は、全体的に走力が必要であり、又各ポジション別で、それぞれ特性のあった結果が見られた.しかし、あくまで選抜である為、監督の思惑もあり、これがHCの特性とはまだいえない状況であるとも考えられた.障害において、HC選手の多くは、腰痛症(分離症等)がメインで予想してきたが、結果では、左下肢の怪我(腱鞘炎・打撲・筋炎)がメインであった.左に受傷が多い原因は2つ考えられた.1つは、HCは一般的に右方向からの攻めが基本で、スティックは片面しか使えないことが、成長期における筋のバランスを崩していると考えられた.2つ目は日本は土のグランドが多く、海外は人工芝が多いため、下肢に加わるグリップの違い=環境が違うことが原因と考えられた.<BR>【まとめ】今回U-15のトレーナー活動を通して、成長期中の男女で選ばれた選手40名の内、約1/5が怪我の既往があり、完治していない選手が数名存在した.アンケートで、選手が医療の必要性を感じ、メディカル的な役割を期待していることが分かった.HCという競技は、腰部痛が多いと思っていたが、現状は、左側にストレスや傷害を負うスポーツであることが理解できた.