- 著者
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野原 隆博
新村 核
小木曽 沙織
- 出版者
- 公益社団法人 日本理学療法士協会
- 雑誌
- 理学療法学Supplement
- 巻号頁・発行日
- vol.2009, pp.G4P2340, 2010
【はじめに】<BR> 当院は月間平均350台の救急車を受け入れている急性期病院である.病状に応じて入院日に医師より処方され,訓練が開始となる早期リハビリテーション医療を提供できる体制を整えている.急性期病態で訓練を実施する際,リスク管理が重要となりハイリスクの状況の中,より安全で,充実した訓練を実施する必要がある.と同時に,医師・看護師だけでなく,コメディカルスタッフも急変時に際して対応できる知識・技術を習熟する必要がある.なぜなら,現代のリスクマネジメントのあり方としては当然の事と考えるからである.<BR> 今回,当院脳神経外科専門医の協賛のもと,理学療法士(以下PT)をはじめとするコメディカルスタッフ対象にBLS(一次救命処置)・ACLS(二次救命処置)勉強会の活動を行ったので考察を加え以下に報告する.<BR><BR>【目的】<BR> 急変時に際して対応できる知識・技術の向上を目的とした.<BR><BR>【方法】<BR> 当院PTをはじめとするコメディカルスタッフ対象に, AED(自動除細動器)を用いた心肺蘇生法であるBLS(一次救命処置),及び除細動器,薬剤を用いた心肺蘇生法であるACLS(二次救命処置)に関する基礎知識の講義及び実技を中心に勉強会を行った.<BR><BR>【説明と同意】<BR> 勉強会にあたり,当院脳神経外科専門医に同意を得て協賛のもと行った.<BR><BR>【結果】<BR> 勉強会にはリハビリテーション科スタッフ全員参加,また看護師・臨床工学技師・レントゲン技師など多職種の参加があった.勉強会実施後のアンケートでは,「急性期病院に従事する者として有意義な講義であった.」などの意見が多く,救命救急に対しての関心が高まった結果となった.<BR><BR>【考察】<BR> 今回,主にBLS(一次救命処置)に重点を置き勉強会を行ったが,医療従事者であるPTは,より高度な救命処置を提供できるようACLS(二次救命処置)まで理解しておく必要があると考える.臨床の場においては,急変時に対する救命処置を実施するのは医師・看護師が中心となるが,実際にPTがサポートできるよう知識・技術を習得しておくことは重要なことであり,そういった体制を整えていることで,リハビリテーション業務をより安全に行うことができると考える.<BR> 今後の展望として,当院ではPTが中心となり急変時に対する勉強会の活動を継続して行うべく,日本救急医学会認定の講習会に随時参加して質を高めるよう努めている.<BR><BR>【理学療法学研究としての意義】<BR> 近年,PTが従事する環境は,病院・クリニック・施設に留まらず,在宅や予防教室,スポーツ大会など多岐にわたっている.そのため,医療従事者がPTのみという場面もありうる現状において,PTはリスク管理に努め,緊急時の対応方法を熟知しておく必要があり,BLS(一次救命処置)・ACLS(二次救命処置)の知識・技術を習得しておくことは重要であり,PTが積極的に活動しなければならない分野でもある.<BR><BR>