著者
新津 望 中田 正幸
出版者
日本呼吸器内視鏡学会
雑誌
気管支学 : 日本気管支研究会雑誌 (ISSN:02872137)
巻号頁・発行日
vol.16, no.6, pp.545-550, 1994-09-25
被引用文献数
3

胸部X線写真上異常を認めた造血器悪性腫瘍30例に対し気管支鏡検査を施行し, その原因検索を行った。胸部異常陰影に対する原因の検出率は30例中26例(86.7%)で, びまん性間質性陰影, 限局性肺胞充実性陰影および結節性陰影で診断率が高かった。疾患別では急性白血病では出血が多く, 白血病細胞, 真菌および細菌がそれぞれ12例中2例であった。慢性骨髄性白血病では結核菌が66.7%と多くみられ, 悪性リンパ腫では真菌が46.2%(6/13), 結核菌15.4%(2/13), 細菌15.4%(2/13)であった。造血器悪性疾患は免疫不全を伴っており, 肺合併症を多く認め致死的なものも少なくない。そのため, 早期診断治療が予後を左右するが, 高度の血小板減少やDICの合併により気管支鏡検査が行いにくい症例もある。よって, 症例を選んで気管支鏡検査を行えば早期診断及び治療に有用であると考えられた。
著者
新津 望 中田 正幸
出版者
日本呼吸器内視鏡学会
雑誌
気管支学 : 日本気管支研究会雑誌 (ISSN:02872137)
巻号頁・発行日
vol.17, no.5, pp.404-408, 1995-07-25

非ホジキンリンパ腫(NHL)の気管支内病変は稀であり, 内外あわせて約40例の報告を認めるのみである。今回われわれはNHLの病期決定のために気管支鏡検査を行い, 気管支粘膜病変の有無について検討した。対象はNHL184例中68例で, 初発例49例, 再発例19例である。68例中4例(5.9%)に気管支粘膜病変を認め, 同部の生検にてリンパ腫細胞が検出された。3例は初発例で, 1例は再発例であり, 全例胸部画像上異常がみられない症例であった。以上の4例はともにB細胞性で, 化学療法により粘膜病変は消失し, 完全寛解となっている。気管支鏡検査の進歩によりNHLの気管支粘膜病変の報告が増加している。今回の検討では胸部画像診断にて異常を認めない症例(特にB細胞性NHL)でも気管支粘膜病変を認めることにより, 病期分類には積極的に気管支鏡検査を行う必要があると考えられた。