著者
新納泉著
出版者
岡山大学文学部
巻号頁・発行日
1999
著者
新納 泉
出版者
国立歴史民俗博物館
雑誌
国立歴史民俗博物館研究報告 = Bulletin of the National Museum of Japanese History (ISSN:02867400)
巻号頁・発行日
vol.211, pp.51-77, 2018-03-30

レーザー計測などの新しい技術の採用によって,前方後円墳の立体的な形状をきめ細かく把握することが可能になってきた。本稿では,そうしたデータにもとづいて,大規模な前方後円墳を例に設計原理とその系列の復元を行う。主として取り上げるのは,近年レーザー計測などが実施された,大阪府藤井寺市仲津山古墳(仲姫皇后陵古墳),同堺市上石津ミサンザイ古墳(履中陵古墳),岡山市造山古墳,大阪府羽曳野市誉田御廟山古墳(応神陵古墳)の4基であり,それぞれの古墳の設計原理の解明と相互の関係を検討した。設計原理を読み解くにあたっては,主として,コンピュータのプログラムを用いて描画される復元図を,測量図に重ね合わせるという手法を用いた。設計原理に用いられた長さの単位を知るには,後円部の中心点と,前方部の隅角の各段を結ぶ稜線が主軸と交わる前方部中央交点(P点)との間の距離が最も信頼性の高い手がかりとなる。これらの点は少ない誤差で絞り込めることと,その2点間の距離が後円部の半径の1.5倍となる例が多く,墳端の位置がはっきりしない場合でも,後円部の半径を推定しやすいからである。以上の方法を用いることにより,次のような点を明らかにすることができた。(1)歩を長さの単位とし,直角三角形の底辺と高さの比で角度を決定している,(2)0.5歩の倍数で段築のテラスの幅を決定し,それを長さの基本単位としていたが,基本単位の長さは後円部と前方部前面で異なるのが普通である,(3)設計原理のままでは要請された墳丘長に合わないことが多いため,実施設計において墳丘を引き伸ばすなどの一定の調整がなされていた,(4)それぞれの古墳の築造に際しては,既存の設計原理を適用するのではなく,そのたびに新たに設計原理が構想されていた,(5)設計原理の継承には系統性が存在するが,その内容は複雑なものである。
著者
新納 泉
出版者
考古学研究会
雑誌
考古学研究 (ISSN:03869148)
巻号頁・発行日
vol.60, no.4, pp.73-84, 2014