著者
山門 實 山本 浩史 菊池 信矢 新美 佑有 谷 瑞希 戸田 晶子 山本 麻以 石坂 裕子
出版者
公益社団法人 日本人間ドック学会
雑誌
人間ドック (Ningen Dock) (ISSN:18801021)
巻号頁・発行日
vol.31, no.5, pp.681-688, 2017 (Released:2017-06-27)
参考文献数
23

目的:がん患者と健常人の血漿中アミノ酸濃度の違いを「アミノインデックス技術」を用いて統計解析し,がん罹患の確率を評価し,精密検査対象者を抽出するがん検診法アミノインデックス®がんリスクスクリーニング(AminoIndexTM Cancer Screening:AICS®,以下.AICS)は,7種のがんに対する検査として実用化されている.既報では,AICS受診者799例中の精密検査対象となるランクCの割合,精密検査結果等を報告したが,本報では,より大規模な受診者5,172例のランク分布,ランクC判定者の精密検査結果,各種AICSの陽性的中率を報告する.方法:三井記念病院における2011年9月~2015年12月のAICS受診者5,172例(男性2,757例,女性2,415例)のランク分布,ランクC判定者の精密検査結果を検討し陽性的中率を算出した.結果:ランクC判定者の精密検査により,肺がん1例,胃がん3例,大腸がん3例,前立腺がん6例,乳がん4例が発見された.各種AICSの陽性的中率は,AICS(肺):0.37%,AICS(胃):0.75%,AICS(大腸):1.19%,AICS(前立腺):1.80%,AICS(乳腺):3.57%,AICS(子宮・卵巣):0%であった.AICSによるがんの発見率は0.33%と,2015年度人間ドック全国集計成績報告の0.26%より高頻度であった.結論:これらの成績は,AICS®の新規がん検診としての有用性を推察させた.