著者
山本 浩史 成田 卓也 山浦 玄武 石橋 和幸 山本 文雄 山本 浩史 千田 佳史 向井田 昌之
出版者
秋田大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2005

平成19年度の研究計画として(1)血流量と電磁誘導効果によって発電された電流量の研究(2)電磁誘導コイルの作製(3)電磁誘導コイルの挿入手技の開発とした。しかし進行の遅れと変更が生じた。誘導起電力が極めて小さく、蓄電およびペースメーカー電源としては不充分な電力しか得られないことが根本的な問題であった。また高冠動脈圧での大動脈圧の加速度的変動が起電力の源となるが、かなり高い大動脈圧では、冠動脈の圧力により心筋コンプライアンス(主として拡張機能)が大きく影響を受けることがわかってきた(coronary turgor effect)。さらに開心術中に心筋が受ける虚血再灌流傷害は、冠動脈内圧力が心筋に与える影響を増強するらしいこともわかってきた。そこで日常、遭遇する肥大心筋の場合はどうような影響を受けるかを調べることにした。これは高い圧力(高血圧)が加速度的に生じる場合の起電力評価の前に、心機能に与える影響を評価することを意味している。ラットの肥大心モデルを作成し、ランゲンドルフ摘出灌流とし、逆行性冠灌流の圧力を変化させた。左室内に留置したバルーンを用いて左室拡張末期圧(心筋コンプライアンスとしての指標)を虚血再灌流の前後で測定した。冠動脈内圧が100mcmH_2Oと150cmH_2Oおよび冠動脈遮断(0cmH_2O)下の左室拡張末期圧を測定した。冠動脈圧の変化は肥大心筋でより大きな影響を受けるが、特に虚血再灌流後ではその影響が著しく大きいことがわかった。電磁誘導を利用した起電力を得るための血圧の加速度的変化は高血圧下では心機能に悪影響を与える可能性が出てきた。
著者
山門 實 新原 温子 山本 浩史 山本 麻以 谷 瑞希 戸田 晶子 石坂 裕子
出版者
公益社団法人 日本人間ドック学会
雑誌
人間ドック (Ningen Dock) (ISSN:18801021)
巻号頁・発行日
vol.28, no.4, pp.673-677, 2013 (Released:2014-03-28)
参考文献数
19
被引用文献数
2

目的:がん患者と健常人の血漿中アミノ酸濃度(PFAA)のバランスの違いを「アミノインデックス技術」を用いて統計解析し,がん罹患の確率を予測する新規がん検診として,アミノインデックス®がんリスクスクリーニング(AICS)が開発され,現在,肺,胃,大腸,前立腺,乳腺,子宮・卵巣の6種のがんに対するスクリーニング検査が実用開始された.本研究では,AICSの精密検査対象となるランクCの割合とAICS値の分布の妥当性について,AICS導出時の理論値と人間ドック受診者での検査結果を比較検討した.方法:三井記念病院の人間ドック受診者799名(男性494名,女性305名,平均年齢59±11歳)を対象とし,各がん種に対するランクCの割合とAICS値について,AICS導出時の理論値と比較した.結果:人間ドック受診者のランクC割合は,AICS(大腸),AICS(乳腺),AICS(子宮・卵巣)では,6.8%,3.0%,3.8%であり,理論値の5%と有意差がみられず,AICS値の分布も理論値と同等であった.AICS(肺),AICS(胃),AICS(前立腺)のランクC割合は,10.1%,10.8%,11.3%と理論値より有意に高く,AICS値分布も理論値と有意差がみられた.結論:ランクC割合およびAICS値分布が理論値とほぼ同等であったことは,AICSが新規がん検診として応用可能であることを推察させた.
著者
山門 實 山本 浩史 菊池 信矢 新美 佑有 谷 瑞希 戸田 晶子 山本 麻以 石坂 裕子
出版者
公益社団法人 日本人間ドック学会
雑誌
人間ドック (Ningen Dock) (ISSN:18801021)
巻号頁・発行日
vol.31, no.5, pp.681-688, 2017 (Released:2017-06-27)
参考文献数
23

目的:がん患者と健常人の血漿中アミノ酸濃度の違いを「アミノインデックス技術」を用いて統計解析し,がん罹患の確率を評価し,精密検査対象者を抽出するがん検診法アミノインデックス®がんリスクスクリーニング(AminoIndexTM Cancer Screening:AICS®,以下.AICS)は,7種のがんに対する検査として実用化されている.既報では,AICS受診者799例中の精密検査対象となるランクCの割合,精密検査結果等を報告したが,本報では,より大規模な受診者5,172例のランク分布,ランクC判定者の精密検査結果,各種AICSの陽性的中率を報告する.方法:三井記念病院における2011年9月~2015年12月のAICS受診者5,172例(男性2,757例,女性2,415例)のランク分布,ランクC判定者の精密検査結果を検討し陽性的中率を算出した.結果:ランクC判定者の精密検査により,肺がん1例,胃がん3例,大腸がん3例,前立腺がん6例,乳がん4例が発見された.各種AICSの陽性的中率は,AICS(肺):0.37%,AICS(胃):0.75%,AICS(大腸):1.19%,AICS(前立腺):1.80%,AICS(乳腺):3.57%,AICS(子宮・卵巣):0%であった.AICSによるがんの発見率は0.33%と,2015年度人間ドック全国集計成績報告の0.26%より高頻度であった.結論:これらの成績は,AICS®の新規がん検診としての有用性を推察させた.
著者
山本 浩史
出版者
岡山県立大学保健福祉学部
雑誌
岡山県立大学保健福祉学部紀要 (ISSN:13412531)
巻号頁・発行日
vol.22, pp.123-132, 2015

本稿では我が国の戦前期における社会事業施設運営管理論を探る手がかりとして、中島千枝の「社会事業の経営組織観」を考察した。その内容は、当時の社会事業施設の経営において、中島が参考になると考えた事項や理論を列挙したものであり、深く考究がなされたものとは言い難い。しかし、経営管理が重要視されてこなかった当時の社会事業に一石を投じたものであり、科学的視点の導入(経営学的視点)を提案したものとして評価される。
著者
須田 理行 山本 浩史
出版者
公益社団法人 応用物理学会
雑誌
応用物理 (ISSN:03698009)
巻号頁・発行日
vol.89, no.4, pp.203-207, 2020-04-10 (Released:2020-04-10)
参考文献数
25

電子がカイラルな分子を通過すると,スピン偏極が生じるという現象(CISS)を利用して,新たなスピン偏極電流源を作製した.このデバイスで我々が用いたのは分子モータと呼ばれる可動性の分子で,光と熱によって1方向に内部回転を行う.この回転が4ステップに分割されたカイラリティ反転を伴うため,モータ分子の薄膜を内蔵したスピンバルブに対して光を照射したり熱を加えたりすることによって,電流のスピン偏極を反転させることに成功した.これは新たなタイプの再構成可能なスピン偏極デバイスであり,電子回路におけるスピン偏極源としての有機分子の可能性を示している.
著者
山本 浩史
出版者
一般社団法人 日本社会福祉学会
雑誌
社会福祉学 (ISSN:09110232)
巻号頁・発行日
vol.53, no.1, pp.117-128, 2012-05-31 (Released:2018-07-20)

済世顧問制度は,岡山県において1917(大正6)年に公布された防貧制度である.本稿の目的は,創設期における顧問個人による活動を考察することにある.その研究方法であるが,制度創設者である笠井信一の思想と済世顧問制度の概要を整理したうえで,制度創設期における顧問の実践を実例から分析し,それぞれの実例に対し,顧問がどのような支援を行っていたのか分析するものである.
著者
宮城 悦子 沼崎 令子 中西 透 片岡 史夫 猿木 信裕 井畑 穰 伊藤 則雄 吉田 憲生 新原 温子 村松 孝彦 今泉 明 山本 浩史 高須 万里子 光島 徹 杤久保 修 山門 實 青木 大輔 平原 史樹
出版者
公益社団法人 日本人間ドック学会
雑誌
人間ドック (Ningen Dock) (ISSN:18801021)
巻号頁・発行日
vol.26, no.5, pp.749-755, 2012 (Released:2012-07-13)
参考文献数
17

目的:血漿中アミノ酸濃度はがんを含む各種疾患により変化する.血漿中アミノ酸プロファイルから健康状態や疾病の可能性を把握する「アミノインデックス技術」は複数がんのスクリーニング法として臨床実用化されている.本研究は多施設共同試験により3種の婦人科がん(子宮頸がん,子宮体がん,卵巣がん)の判別を行う指標式を「アミノインデックス技術」を用いて導出し,その有用性を検討することを目的とした.方法:複数施設で子宮頸がん患者208例,子宮体がん患者186例,卵巣がん患者102例,婦人科良性疾患患者305例,健康人1,631例を対象として採血し,血漿中アミノ酸濃度をLC-MSにより測定した.結果:3種の婦人科がん患者の血漿中アミノ酸濃度変化は共通性が高く,婦人科がんのいずれかに罹患している可能性を判別する一つの指標式を「アミノインデックス技術」を用いて導出し,その判別性能評価を行った.導出された指標式の特異度95%での感度は子宮頸がん52%,子宮体がん58%,卵巣がん77%であり,いずれもⅠ期症例から高い感度を示した.また,子宮頸がんでは腺癌も高い感度を示す,子宮体がんではCA125より有意に感度が高い,卵巣がんではCA125と同程度の感度を示すなどの特徴を有していた.結論:「アミノインデックス技術」により導出された,3種の婦人科がんのいずれかに罹患している可能性を評価する一つの指標式は,3種の婦人科がんの簡便な血液検査のスクリーニング法として有用であることが示唆された.
著者
三浦 猛 岡本 直幸 今泉 明 山本 浩史 村松 孝彦 山門 實 宮城 洋平
出版者
公益社団法人 日本人間ドック学会
雑誌
人間ドック (Ningen Dock) (ISSN:18801021)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.51-55, 2011 (Released:2012-08-03)
参考文献数
13
被引用文献数
2

目的:血漿中アミノ酸濃度は,生理学的な代謝状態を反映することが知られており,肝臓機能障害時や種々のがんで血漿中アミノ酸濃度が変化することが示唆されている.前立腺がんの早期発見,治療につながる新しい診断マーカーの開発を目的とし,前立腺がん患者と対照者との血漿中アミノ酸濃度の比較に基づき,アミノ酸を変数とした多変量解析により作成した判別式「アミノインデックス」による前立腺がん判別の可能性を検討した.方法:前立腺がん患者と対照として人間ドック受診者の血漿中アミノ酸濃度を測定した.患者群と対照群とのアミノ酸濃度を比較し,個々のアミノ酸濃度変化を,変数選択を伴う多重ロジスティック回帰により,前立腺がん患者を判別する判別式「アミノインデックス」を導出,前立腺がんの診断能の評価を行った.判別能の評価基準としては,ROC曲線下面積(ROC_AUC)を採用した.結果:対照群と比較し,前立腺がん患者は,Alanine, Histidine,Asparagine, Prolineの増加,Triptophanの減少が見られた.導出された前立腺がんを判別する「アミノインデックス」は,ROC_AUC=0.74の判別能を有し,早期がんも検出できた.またPSAとは有意な相関は見られなかった.結論:前立腺がんを判別する「アミノインデックス」は,前立腺がんの新しい診断マーカーとなる可能性が示された.また,PSAと独立した指標であることから,PSAとの併用による有用性が示唆された.
著者
三浦 猛 岡本 直幸 今泉 明 山本 浩史 村松 孝彦 山門 實 宮城 洋平
出版者
Japan Society of Ningen Dock
雑誌
人間ドック = Ningen dock : official journal of the Japanese Society of Human Dry Dock (ISSN:18801021)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.51-55, 2011-06-30
被引用文献数
3

<b>目的:</b>血漿中アミノ酸濃度は,生理学的な代謝状態を反映することが知られており,肝臓機能障害時や種々のがんで血漿中アミノ酸濃度が変化することが示唆されている.前立腺がんの早期発見,治療につながる新しい診断マーカーの開発を目的とし,前立腺がん患者と対照者との血漿中アミノ酸濃度の比較に基づき,アミノ酸を変数とした多変量解析により作成した判別式「アミノインデックス」による前立腺がん判別の可能性を検討した.<br><b>方法:</b>前立腺がん患者と対照として人間ドック受診者の血漿中アミノ酸濃度を測定した.患者群と対照群とのアミノ酸濃度を比較し,個々のアミノ酸濃度変化を,変数選択を伴う多重ロジスティック回帰により,前立腺がん患者を判別する判別式「アミノインデックス」を導出,前立腺がんの診断能の評価を行った.判別能の評価基準としては,ROC曲線下面積(ROC_AUC)を採用した.<br><b>結果:</b>対照群と比較し,前立腺がん患者は,Alanine, Histidine,Asparagine, Prolineの増加,Triptophanの減少が見られた.導出された前立腺がんを判別する「アミノインデックス」は,ROC_AUC=0.74の判別能を有し,早期がんも検出できた.またPSAとは有意な相関は見られなかった.<br><b>結論:</b>前立腺がんを判別する「アミノインデックス」は,前立腺がんの新しい診断マーカーとなる可能性が示された.また,PSAと独立した指標であることから,PSAとの併用による有用性が示唆された.
著者
犬塚 澄雄 山本 浩史 大石 武士 青木 晋平
出版者
近畿大学
雑誌
近畿大学農学部紀要 (ISSN:04538889)
巻号頁・発行日
vol.21, pp.13-17, 1988-03-20

キノコ残渣の養鶏飼料化を図るため,26週齢の産卵鶏(RIR系)を用い,市販の成鶏用配合飼料にシイタケ残渣を8%と12%代替した飼料を給与し,卵質に加えてとくに今までほとんど検討されていなかった血液成分への影響について,市販飼料の結果と比較して,調べた.供試したシイタケ飼料(8%と12%)の一般成分は,市販飼料と比較すると,粗蛋白質と粗脂肪の各含量が低く,粗繊維と粗灰分合量に富んでいることがわかった.体重は減少する傾向が認められ,飼料摂取量は8%代替では市販飼料とあまり差はなかったが,12%代替では有意(P<0.05)に減少した.飲水量は逆に増加した.産卵率は市販飼料に劣らない良い成績が得られ,飼料効率の点ではむしろ優れているようであった.卵重は12%代替で有意(P<0.05)に小さい結果を得た.卵殻厚も同様で薄くなった.ハウユニットには差はなく,卵黄の色調は消費者の嗜好性からみて,実用上で全く問題はないと思われる.血液成分については,T-cho, HDL-cho, TG,およびβ-Lpの各濃度は市販飼料の場合よりも低い価が得られ,とくに12%代替では有意差(P<0.01)が認められ,総体的に脂質の低減効果が認められた.Ca濃度も有意(P<0.05)に減少した.GやMgの濃度はほとんど変化はなかった.シイタケ残渣の代替率は8%と12%の間にその適正値が存在することが推測された.