著者
新関 三希代
出版者
同志社大学
雑誌
經濟學論叢 (ISSN:03873021)
巻号頁・発行日
vol.58, no.3, pp.373-401, 2006-12

本論は、日経225株価指数、及び追加型株式投資信託の日次データを用いて、価格収益率とボラティリティの関係について実証分析を行っている。危険資産のリターンが負の場合は、正の場合に比べてそのリスクが大きいという負の因果性が見られるか否か、ノンパラメトリックな回帰分析を用いて実証するとともに、その理論的分析をプロスペクト理論を用いて行っている。結果、日本の株式インッデクス、及びインデックス連動型の投資信託にはこの負の因果性が見られ、プロスペクト理論における価値関数がその投資家行動を説明しうることを示した。しかし、分配回数の多い人気投資信託や収益性を重視した投資信託には両者の明確な因果性が見られず、特に、前者はリターンの大きさに関係なく、低いリスク水準を一定に保っていることがわかった。これは、分配型投資信託が人気商品になっている要因の一つであると考えられる。