- 著者
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吉岡 俊人
日下部 智香
- 出版者
- 特定非営利活動法人 緑地雑草科学研究所
- 雑誌
- 草と緑 (ISSN:21858977)
- 巻号頁・発行日
- vol.10, pp.44-53, 2018 (Released:2019-02-01)
- 参考文献数
- 20
ヒメムカシヨモギは明治初期、オオアレチノギクは大正末期に帰化が確認されたキク科Erigeron属の外来雑草である。ヒメムカシヨモギにはゴイシング,デンシングサ,テツドーグサなどの方言があって、開発に伴って分布拡大した様相が呼称から読み取れる。よく似た両種の識別点は、舌状花が明瞭か否かあるいは茎葉の毛が粗か密かである。どちらも自殖性,多産性,長距離風散布性,易発芽性,短生活期間など放浪種としての性質を有するが、オオアレチノギクに比べてヒメムカシヨモギではいずれの性質もより顕著だと言える。また、オオアレチノギクが越年草であるのに対してヒメムカシヨモギは一越年草である。これらの生存戦略上の差異は、両種の地理的分布や雑草特性、あるいは優占化する植生遷移段階の違いとなって現われている。