- 著者
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野村 光佑
池田 善敬
日下部 裕一
西田 幸博
- 出版者
- 一般社団法人 映像情報メディア学会
- 雑誌
- 映像情報メディア学会誌 (ISSN:13426907)
- 巻号頁・発行日
- vol.75, no.3, pp.428-437, 2021 (Released:2021-05-01)
- 参考文献数
- 12
- 被引用文献数
-
1
高ダイナミックレンジ(HDR)方式で制作された番組を標準ダイナミックレンジ(SDR)方式のハイビジョン放送で用いるためには,HDRからSDRへの方式変換が必要となる.SDRで制作された番組と同等の品質を確保するには,白や顔肌レベル,ハイライト領域の再現性への考慮が重要である.そこで,HDRとSDRの基準白や顔肌レベルの対応関係を考慮しつつ,コンテンツに応じて変換パラメータを任意に調整可能な線形関数と対数関数を組み合わせたトーンマッピング関数を考案した.さらに,変換後のハイライト部における色相変化や階調喪失を防ぐために,トーンマッピング処理を輝度成分のみに適用したほか,RGB成分間の比率を平準化するクロストークマトリックス処理や,高彩度な色の階調喪失を防ぐ彩度補正処理を導入した.このHDRからSDRへの変換法をグラデーションパターンやHDR映像に適用し,それぞれの処理の効果と有効性を確認した.